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そうしてあっという間にデート当日。駅前広場。集合時間10分前の、12時50分。
ちら、と既に来ていた先輩を影から見てみる。
わぁ。壁にもたれてスマホをいじってるだけなのに、とても絵になってる。
通り過ぎる女の人も何人かちらちら見てるし。
うん、やっぱりかっこいい。
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けど、それとは対照的に。
『……はぁ。』
ショーケースに映る私は、あんまりパッとしない。
…あんなに憧れだった先輩とデートなんだよ?私。
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あそこで待ってるのがグクならよかった。そんなこと思っても、意味ないのに。
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ダメダメ。今日はユンギ先輩とのデート。こんな気持ちで行ったら相手にも失礼だ。
バシン、ッ、と頬を叩いて、切り替える。
そうしてユンギ先輩の元へ走った。
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『先輩、こんにちは!』
「おー。……じゃ、行くか。」
『はい!』
ゆっくり、先輩とのペースで歩き始める。
「行きたいとこある?」
『今日は先輩へのお礼も兼ねてるので、先輩の行きたいところに行きたいです!』
「…ん、了解」
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そんな私たちが来たのは、なんと海。
3月の海は、とても寒い。けど、なんだか心地よかった。
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『泳がないんですか?』
「殺す気なの?」
なんて冗談を言って笑い合う。
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せっかくだから靴を脱いで、浜辺を歩いていみた。
潮を纏った風が、私たちの間をすり抜ける。
風に、ユンギ先輩の柔らかい髪が揺れている。
其の姿が本当に美しくて、思わず見惚れた。
「……いいよな。海」
『…ですね。先輩はよく来るんですか?』
「まぁ…たまに?」
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先輩にちょい、と海水をかけられる。
『わ、ちょ!やめてくださいよ!!!』
意地悪顔の先輩にもまた、海水を掬ってなげつけてやった。
やめろ、と笑う先輩はとても楽しそうで。
水をかけて、逃げ回って、仕返して、笑って。
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『ほんと、やめてくださいよー、!って、っわ!』
「バカ、…、!」
足が絡んでその場に転んだ私と、それを受け止めようとして一緒に転んだ先輩。
お互いびちょびちょだ。
そんなお互いを見て、どこからともなくやってくる笑いに、身を任せた。
楽しい、楽しいよ。
泣きたいくらいに。
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ちむたろう(プロフ) - さきさん» えぇ、嬉しすぎます!さきさんのストライクゾーンを無事射抜けたようで嬉しいですふふふ!(⌒-⌒)「?」本当に気に入って頂けたみたいで嬉しいです!ありがとうございます.......!! (2020年3月10日 16時) (レス) id: 480aaa9b57 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ところどころ、「?」につながっているところとかこの犯人が誰かわからない、ちょっと身震いしそうな物語マジでストライクゾーンです。素敵な作品ありがとうございます!!もう私の頭からはストックホルム症候群は離れそうにないです(( (2020年3月9日 22時) (レス) id: 71073e79d4 (このIDを非表示/違反報告)
ちむたろう(プロフ) - いつきさん» いっちゃん…あんた嬉しい事言って…!!!(誰だよ ありがとう!そんなふうに言ってくれて嬉しい!!更新頑張るよ!最後に言わせて、すき(はーとはーと) (2020年2月18日 23時) (レス) id: 4df5af503c (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - すごい引き込まれています…凄すぎます。毎日毎日更新される通知が来るたび見ています、本当に大好きな小説です…。これからも応援しています、頑張ってください( ; ; ) (2020年2月18日 23時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
ちむたろう(プロフ) - さくらんぼさん» さくらんぼさん!『最後の手紙』、大好きです!(●´▽`●)コメントありがとうございます!嬉しいです!ユンギさんですか…!ふふ、最後までお付き合いくださいね(¯v¯)!素敵なコメントありがとうございました! (2020年2月18日 22時) (レス) id: 4df5af503c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:uni x他1人 | 作成日時:2020年2月15日 17時