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ユンギ先輩の半歩後ろを歩く。
前みたいに、笑いあって楽しく、なんて空気にはなれるはずもない。
ユンギ先輩も気遣ってくれているのか、さっきから私の前を黙々と歩いている。
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ふと、家電量販店の前に差し掛かった時。ユンギ先輩が足を止めた。
『……ユンギ先輩?』
先輩の顔を覗き込むと、何か考えているような面持ちで。
数分そうしていたかと思えば、突然なにかの覚悟を決めたように、よし、と呟いた。
「A。行くぞ」
『は?』
手を引かれ、ユンギ先輩のなすがままに、スマホ売り場専用のカウンターに座った。
店員さんとてきぱきとことを進める先輩に、ついていけない。
そうしてあっという間に、先輩の手には真新しいスマホが握られていたのである。
え?
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ありがとうございましたー、という店員の声を背中に、私たちは店を出た。
『……先輩。衝動買いは良くないですよ。』
「ちげーよバカ。…これ、お前にやる。」
『え』
その言葉に呆ける私の手に、先輩が無理やりそれを握らせた。
いやいや、こんな高いもの受け取れるわけない。
『いやいや。…もらえませんよ!ていうか、なんで……』
「お前、1回全部リセットした方がいいよ。連絡先も、それに入ってる思い出も、全部。」
そう言って先輩が指さしたのは、私の古いスマホ。
わかる。先輩の言う通りだ。これには、連絡先だけじゃない。グクとの思い出の写真や何やらが詰まってる。
これから前に進むなら、これはもしかしたら、私の枷になるかもしれない。
…いや。けど。
『……たしかに、そうかもしれないけど、でも、』
「いいから。俺はお前と違って金がある」
『先輩、……それでも、』
いかにもめんどくせぇなって顔の先輩だけど、ここは引けない。そんな私を見兼ねたのか、先輩があ、と呟いた。
「…じゃあさ
今度デートして?」
『へ』
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ちむたろう(プロフ) - さきさん» えぇ、嬉しすぎます!さきさんのストライクゾーンを無事射抜けたようで嬉しいですふふふ!(⌒-⌒)「?」本当に気に入って頂けたみたいで嬉しいです!ありがとうございます.......!! (2020年3月10日 16時) (レス) id: 480aaa9b57 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ところどころ、「?」につながっているところとかこの犯人が誰かわからない、ちょっと身震いしそうな物語マジでストライクゾーンです。素敵な作品ありがとうございます!!もう私の頭からはストックホルム症候群は離れそうにないです(( (2020年3月9日 22時) (レス) id: 71073e79d4 (このIDを非表示/違反報告)
ちむたろう(プロフ) - いつきさん» いっちゃん…あんた嬉しい事言って…!!!(誰だよ ありがとう!そんなふうに言ってくれて嬉しい!!更新頑張るよ!最後に言わせて、すき(はーとはーと) (2020年2月18日 23時) (レス) id: 4df5af503c (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - すごい引き込まれています…凄すぎます。毎日毎日更新される通知が来るたび見ています、本当に大好きな小説です…。これからも応援しています、頑張ってください( ; ; ) (2020年2月18日 23時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
ちむたろう(プロフ) - さくらんぼさん» さくらんぼさん!『最後の手紙』、大好きです!(●´▽`●)コメントありがとうございます!嬉しいです!ユンギさんですか…!ふふ、最後までお付き合いくださいね(¯v¯)!素敵なコメントありがとうございました! (2020年2月18日 22時) (レス) id: 4df5af503c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:uni x他1人 | 作成日時:2020年2月15日 17時