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『グク、?……どうしたの、手、痛い、』
「……」
さっきからグクは私の腕を引っ張るだけで、こっちを見ない。怒ってるのかな。
けどグクが怒る要素が見当たらないし。
『グク、?離して、痛いから、』
「…」
『…痛い、って、!』
痛みに耐えかねて、思い切り腕を振り払った。
と同時に、やっとこっちを見たグク。感情の汲み取れない表情に、少し、びく、とする。
「…お前さ、危機感なさすぎんじゃねぇの?」
『……え、』
「昨日あんなことあったんだから、もう少し他人を警戒しろよ」
『…ユンギ先輩を疑えっていってるの?』
「いや、…まぁ、一応、そういう可能性もあるだろって、」
そのグクの言葉に、じわ、と涙がこみあげた。信じたい人を疑えって言われて、私、じゃあどうしたらいいの。
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『帰る、』
「は?お前、何言って、」
『いい、ひとりにして』
グクの言葉を聞かずに、私は走り出した。
おい、と背後から大きな声。ごめん、グク、ごめんなさい。
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人の目線も、乱れる髪も、全部全部、なりふり構わずただひたすらに走った。
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そうして家に着いたのは夜九時頃。ビクビクしながら、鍵を出そうと鞄の中を漁る。
見つけるや否や鍵を差し込み、家に入ろうとした。
……と、ポストになにか入ってることに気づいた。
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『なんだろ、これ、』
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それは、少し厚い封筒だった。差出人不明のそれに、嫌な汗が伝う。
ニャー、と、夜の闇に響いた野良猫の声に、ビクッと肩が跳ねた。
…と、焦った手からその封筒が落ちる。
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バサ、と落ちた衝動で、封筒から飛び出してきたそれに、
声にならない悲鳴を上げた。
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ちむたろう(プロフ) - さきさん» えぇ、嬉しすぎます!さきさんのストライクゾーンを無事射抜けたようで嬉しいですふふふ!(⌒-⌒)「?」本当に気に入って頂けたみたいで嬉しいです!ありがとうございます.......!! (2020年3月10日 16時) (レス) id: 480aaa9b57 (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - ところどころ、「?」につながっているところとかこの犯人が誰かわからない、ちょっと身震いしそうな物語マジでストライクゾーンです。素敵な作品ありがとうございます!!もう私の頭からはストックホルム症候群は離れそうにないです(( (2020年3月9日 22時) (レス) id: 71073e79d4 (このIDを非表示/違反報告)
ちむたろう(プロフ) - いつきさん» いっちゃん…あんた嬉しい事言って…!!!(誰だよ ありがとう!そんなふうに言ってくれて嬉しい!!更新頑張るよ!最後に言わせて、すき(はーとはーと) (2020年2月18日 23時) (レス) id: 4df5af503c (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - すごい引き込まれています…凄すぎます。毎日毎日更新される通知が来るたび見ています、本当に大好きな小説です…。これからも応援しています、頑張ってください( ; ; ) (2020年2月18日 23時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
ちむたろう(プロフ) - さくらんぼさん» さくらんぼさん!『最後の手紙』、大好きです!(●´▽`●)コメントありがとうございます!嬉しいです!ユンギさんですか…!ふふ、最後までお付き合いくださいね(¯v¯)!素敵なコメントありがとうございました! (2020年2月18日 22時) (レス) id: 4df5af503c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:uni x他1人 | 作成日時:2020年2月15日 17時