ちぐはぐな[リズム]は歌い手様に好かれました。Part4! (ページ40)

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165.幸せページ40

そらるside

打ち上げも中盤に入る頃。

『あつ…ちょっと外で体冷ましてきます』

そう言って月弥が立ち上がった。

そ「あ、俺も行くわ」

酔っ払ったヤツラから逃げたくて、月弥と一度外に出る。

12月の冷たい乾いた風が頬を撫でる。

でも、それが火照った体にはちょうど良かった。

『…夢みたいな、時間でした』

ぽつりと彼女が呟く。

彼女に目線を向けると、その瞳は何を見ているのか分からないような。

憂いをおびた目をしていた。

『…楽しかった。ただただ歌を歌って、皆と一緒に叫んで、喋って、笑って』

一生分の幸せ使っちゃいましたね、と微笑を浮かべる彼女。

そ「…これからは、もっと楽しい事があるよ」

俺にしては珍しく、言葉を選びながら話す。

辛いことがあっても、苦しいことがあっても、それの何倍もの幸せがそこにあって。

そ「だから…そんな悲しい目、しちゃ駄目だよ」

はっと、何かに気づいたように目を見開く月弥。

けれどそれも、一瞬で元にもどって。

『そうですねぇ…』

そうやって、またふわりと笑う。

また俺が口を開こうとした次の瞬間、体に衝撃が走った。

そ「っ！」

あまりの衝撃にその場に倒れ込む。

薄れゆく意識。遠くで月弥の声がする。

地面の冷たさが、やけに鮮明に感じられた。

そして俺は意識を手放した