232話 「一般人に変わりはない」 ページ39
『ッ止まれ!!!』
何かが外れた音の後にシャッターが凄い勢いで降りてきた。どうなってんだよ普通はこういうのは安全面に考慮してゆっくり動きませんか!?
とっさに叫んだおかげで挟まったり下敷きになった奴はいないが三分の一程度はこちらに取り残されてしまった。
背後ではバンバンとシャッターを叩く音。マナちゃんが叫んでいるのも聞こえる。
『こっちはいいから全員逃げろ!!』
「マナちゃん、通報を!!組織犯罪対策部の柊という名前を出してください!!!」
「お前らサツか?」
柊さんと俺で残った女の子たちを庇うように立つ。
どうやら俺も警察扱いらしい。めんどくさいからYESって事にしとこう。
「いいえ、彼女は一般人です」
『柊さん!』
「あなたも護るべき市民ですから」
安心させるように笑う彼女だったが、どう見ても引き攣っている。
男どもを睨みつけながら周囲を確認する。後ろはシャッター。窓の位置は高い。存在感の薄いドアが二つあるようだが、奴らの背後だ。残った人数が最初より少ないとはいえ、そこを蹴破って全員で逃げるのは無理だろう。
チッと舌打ちを溢せば煙草をふかしているリーダー格らしい男が口を開いた。
「ったくよぉ……大事な商品逃がしやがって。どう落とし前つけてくれるんだケーサツさん」
「………」
「だんまりか。ま、お前には責任取ってもらわねえとなあ。出ろ」
チャキッと男の内一人が銃を構えた。
えー、武器ってなくなったんじゃないのかよ。
「表向きにはね」
『……表向き、ね』
そりゃそうか。
大人しく一歩前に出た柊さん。それを見たリーダー格は隣の男に目配せをする。下卑た笑いを上げてスマホを取り出し、構えた男が「どうぞ」と言う。また動画か。
「さて、裸に引ん剝いて回すか」
「………いいわよ。ただし、他の子には手を出さないで」
「はっ、そりゃお前の頑張り次第だケーサツさん。精々全員分頑張れよ」
ぎゃははと下品な笑いが起こる。
ああ、胸糞悪い。このクソ男ども……占めて二十人くらいか?あの部屋にそんなに入ってたんだな。すし詰めだったんじゃね?部屋が広かったのかもしれんが。
ともかく、このくらいなら秒で沈めれるのに。
チラリと柊さんを見る。凛とした顔は確かに護る者の顔だった。それを誇りにしている人間の顔。どこまでも綺麗だ。
「フーッ、とりあえずは灰皿だな。その生意気なツラ使わしてもらおうか」
彼女の綺麗な顔が一瞬、酷く歪んだ。
俺の脳裏には数分前の彼女の笑顔が浮かぶ。
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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