230話 「作戦、算段、秘策……なんとでも」 ページ37
この警察さん、柊さんというらしい。柊さんは赤レンガ倉庫付近でおとり捜査中、俺と同じような感じで脅されこの状況。
GPSはどうやら使い物にならず、柊さんについていた警察官もいたらしいが、そこがちゃんと機能していない可能性があるらしい。「どっちにしろ遅すぎる」とのこと。
「あの人に限ってしくじるとは思いませんが」
『……まあ、誰にでもミスる時はあるし、今はこの状況をどうにかしなきゃな』
「ここに居る人間は二十六人……参りましたね。あなたと私を除いても二十四人……何も分かっていない一般人をこの人数誘導しながらとなると……」
『あ、俺は一般人扱いじゃなくていいの?』
「……流石に、わかります。雰囲気ですけど。しかし、あなたも私が護るべき市民です」
『あー、大丈夫。俺は俺のしたいようにやってるだけだから。柊さんは他の人を、ね?』
「……すみません」
「ねえ」
声を掛けられた。びっくりしながらそちらを見れば、茶髪の女の子。
釣り目でキツめの美人さんだ。
「逃げ出す算段?………私も混ぜてよ。喧嘩とかできないけど、きったないオッサンに売られるくらいなら相手殺してでも逃げてやるわ」
「で、ですが」
『いや、柊さん。この際全員に手伝ってもらおう。絶望的なら、とことん足掻こうぜ』
ぱっと両手を見せる。腕には千切れた縄がぶら下がっていた。
柊さんはやっぱりと言った顔をしながら言う。
「私の靴下にナイフが入ってるので」
『おう』
プツン、柊さんの縄を切る。同じように茶髪の女の子のも。
ニッと笑った彼女は「私、愛菜波。マナでいいよ」と言って他の女の子たちのところに駆けて行った。
柊さんも続いてナイフで女の子たちの縄を切り始めた。
さて、気張るか。銀を肩に移動させ大きく呼吸をした。
「………準備はいいですか?」
柊さんの問いかけに両腕が自由になった女の子たちが緊張した面持ちで頷く。
ちら、と目線を受けドアの前に仁王立ちして大きく息を吐いた。
『ッらぁ!』
ドアノブの下を渾身の力で蹴りぬいた。メキョッと嫌な音を立ててドアが軋む。すかさずもう一度蹴ると今度はバキィッと派手な音を立ててドアが壊れた。
『行くぞ!』
俺を先頭にマナちゃん、続いて女の子たちが走り出す。殿は柊さんだ。
作戦を立てようとしたが諦めた。この人数を敵の目があるところから逃がすのは厳しい。せめてスタートだけでも見られなければ可能性はあると判断した。幸い、倉庫内はそんなに広くない。
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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