〈３〉愛を運ぼう【夏油傑】

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 車に着いて荷物(にもつ)を後ろに乗せると、はい。と言ってスマホを返される。

 その場でスマホを確認(かくにん)すれば、神代先生から着信(ちゃくしん)が２件(けん)来ていた。

 急いで先生に掛(か)ける。


「もしもし、神代先生。電話遅(おく)れてすみません。色々(いろいろ)と有り過ぎてすぐに電話出来(でき)ませんでした」

『Aちゃん、連絡(れんらく)来て良かったよ。こちらこそ、いつも任(まか)せてごめんね』

「いえ、それは構(かま)いません」

『ありがとう。――……どうなったかな』

「悪霊は祓(はら)いました。でも、残念(ざんねん)ながら行方不明(ゆくえふめい)の方(かた)の殆(ほとん)どはもう……」

『ありがとう、Aちゃん。いつも任せっきりで、それに辛(つら)い事を話させてごめんね』

「……オレは大丈夫(だいじょうぶ)です」

 そう言えば、隣(となり)にいたソイツがオレの頭をよしよし、とでも言うかのように優しく撫(な)でる。

 その手をベシ、と払(はら)ってオレは神代先生の声を聞く。


『Aちゃん。何も出来ない私が言うのも可笑(おか)しいけれど、君はまだ成人もしてない。本来(ほんらい)守られる対象(たいしょう)なんだ。――だから、無理(むり)はしないでね』

「…ありがとうございます。神代先生」

 それから、とオレは口に出して続ける。


「１週間程(ほど)県外に出たりと忙(いそが)しいので、１週間経(た)つまではすみません。よろしくお願いします」

『分かった。気をつけてね。何かあったら"浅上さん"に相談するから心配しないで』

「ありがとうございます。すみません。――よろしくお願いします」

 先生もお身体(からだ)に気をつけて。とオレは続けた。


『ありがとう。それじゃまたね』

「はい」

 そのまま通話を切る。


 

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