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Idia side
｢背筋を丸め過ぎですよ｣
｢だだだって……さっきまでクルーウェル先生と踊ってたじゃん！ 僕はあんなスマートにエスコートなんか出来ないって……！！｣
｢貴方が他の御令嬢と踊るのは嫌だと仰られたのでしょう｣
｢A氏とは踊りたいけどさっ、でも他の人達からの視線が怖いんだよぉぉ！｣
A氏からの溜息と呆れた視線が突き刺さる。
けどさ、さっきあんなに色気たっぷりのダンスを披露してたA氏とパートナーとして踊れって無理ゲーすぎません？
彼女と踊りたいのも事実だし、彼女以外の女の人をダンスに誘えないし、誘いたくもないのは本当だけどタイミングってものが悪いでござる。
あの恐怖の鬼ごっこの後、部屋で一緒にゲームをしてる時に、僕からA氏に一緒に踊って欲しいと頼み込んだんだ。
彼女は舞踏会に参加するのを嫌がってたし、目立つのも嫌いだから踊りたくないって言ってたから無理だと思ってたけど……拙者のあまりの必死さに折れてくれたらしい。
｢参加に積極的になれない気持ちも、不特定多数の相手と踊る面倒臭さも理解出来るからこそ、私は貴方の手をとったのですよ｣
｢けど……いっ、今思うとA氏に申し訳ないんだ｣
｢何故｣
｢シュラウド家は呪われた一族……嘆きの島に住む人なら誰だって知ってる話さ。そんな僕を相手にさせてしまったことがっ――んぐっ！？｣
僕の左手と重なっていた彼女の右手がするり離されて、僕の唇を摘んで言葉を切られた。
いきなり言葉を遮られたのと、手を離されたことに困惑して、僕は目を見開きながらA氏を凝視することしか出来ない。
すると、彼女は先程とは違う意味での呆れを含んだ瞳で見つめてきた。
｢喧しい。私は貴方の家が呪われていようが、貴方自身が呪われていようが、心底どうでもよいです｣
｢へ？｣
｢呪いは実在するやもしれません。現に私の見目が成長しないのも、肉体が老わないのも一種の呪いでしょう。……ですが、私は貴方の蒼炎の髪は美しいと思いますし、実際に呪われていたとしても貴方との関わり方を変えるつもりはございません｣
僕の青色の髪を綺麗だって。
呪いも人伝で聞いただけだから信用していないし、もし本当でも気にしないし関わり方も変えないって。
そんな言葉を贈られたことがなくて、じんわりじんわりと顔と言わず全身が熱くなってくる。
｢エスコート、お願いしますね｣
｢っ……ま、任せて！！｣
君は本当に狡くて、それで優しい人だね、A氏。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
