11 ページ23
蛸足の力が緩んだ隙を見逃さず、Aはその拘束から抜け出してリーチ兄弟の元へと後退する。
締め付けられていた体を心配する気持ちはあるものの、怒りを滲ませているAにどう声を掛けていいのか分からず、フロイドはチラチラと彼女に視線を送っていた。
｢……何です｣
｢Aちゃ、ん。怒ってる？｣
｢いえ、そこまで怒ってはいません｣
｢｢(嘘だろ！？！？)｣｣
普段の敬語口調を崩し、名前のさん付けを外して呼び捨てで怒鳴っていたというのに、それを"そこまで"怒っていないと言われても信用出来るわけがない。
現に、彼女の横に立っているフロイドとジェイドは顔が真っ青になっているのだから。
そして、次にAが発した言葉を聞いた面々は冷や汗を流して顔色を悪くし、思いっきり頬を引き攣らせた。
｢本気でしたら取り敢えずぶん殴ってます｣
流石戦国時代の女武将。
本気で怒った場合は怒鳴るのではなく、取り敢えず暴力で己に屈服させるスタイルらしい。
まだ正論なり持論なりをぶつけ、言葉で殴っていく現段階はまだ優しい怒り方をしているとのこと。
Aのことは絶対に怒らせないようにしよう、とレオナとエーデュースは心に決めた。
というか、Aの怒り具合や怒り方の種類なんてものはどうだっていいのだ。
先ず考えるべきは、アズールをどうやってオーバーブロット状態から戻すかである。
｢Aがアズールのことを、前みたいにズバって斬れば解決するんじゃねぇの？｣
｢そう出来れば早いのですけれど、足場の関係的に微妙でして……オクタヴィネル寮は水中にありますでしょう。ですから足場も安定しませんし、痣丸の軌道もずれてしまいます｣
｢んん？｣
｢頭が回んねぇな、お前らは。Aが言いてぇのは、俺や赤毛の坊ちゃんの時と違ってアズールを傷付けちまう可能性があるってことだろ｣
｢レオナさんの仰る通りですよ｣
オクタヴィネル寮は水の中にあるデザインな為、足場が悪くなってしまうのに加え、水の抵抗が発生してしまって上手く移動も出来ない。
考えられる可能性の中でも最悪なのは、痣丸でブロットを斬ろうとして失敗してしまうことだ。
ブロットを斬れなければ再挑戦すれば良いが、寮を斬り崩してしまったり、Aが怪我を負ってしまう可能性があるのである。
｢じゃあどうすんだよ！｣
｢Aちゃん……！｣
｢何でもかんでも私に縋るのやめて頂けますかね。策はあるのでご安心を｣
ふわり、とAの髪が浮き上がった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1582人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆるり(プロフ) - ミニ林檎さん» お褒めの言葉、ありがとうございます！承りました。順番に書いていますので、少々お時間頂きますね。 (2020年4月23日 23時) (
レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
ミニ林檎 - 素敵な、ストーリーですね。リクエストしたいのですが閣僚の皆んなから追いかけられる話が見たいです。 (2020年4月23日 20時) (レス) id: a0bbb5bb79 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - ＊＊さん» こちらこそ、素敵なリクエストありがとうございました！楽しく書かせて頂きました〜！ (2020年4月23日 13時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
＊＊(プロフ) - ポムフィオーレのみなさんの美を追求する姿勢は夢主ちゃんにとっても居心地がいいものなのかなあと、ほっこりしました…！想像するだけで幸せになれる素敵なひとときをありがとうございました (2020年4月23日 11時) (レス) id: dd9fb51a76 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 月兎さん» わ〜！！そんなことを言って貰えて光栄です！リクエスト承りました。順番に書いていますので、少々お時間頂きますね。 (2020年4月23日 0時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月17日 0時
