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Fyodor side


「……はい?」


肩を叩かれたような、そんな弱い感触を感じた僕が後ろを向くと、どこか不機嫌な声で沙紗くんが唐突にそう問いかけてきた。


「ちょっと、沙紗!フョードルさんを巻き込んじゃ駄目だろ、お兄さんは関係無いんだから!」


「でもでも!ここはぜーったい、大人の人に決着を着けてもらった方が良いだろ!」


「そういう問題じゃないだろ……」


ふむ。これは一体どういう事なのでしょうか。さっきはAさんの事ばかり考えていたお陰で、彼らの話は一切聞こえてこなかった。……しかし、断る訳にはいきませんね。というか、断れそうに無い。もう既に、話はかなり進んでいるようですし。


「分かりました、僕で良ければ引き受けましょう。……ただ、事の経緯をお話してくれませんか?でないと、僕は公正な判断をする事が出来ない」


「もちろん!えーっとね……なんでこうなったんだっけ?」


「はぁ?何でついさっきの事忘れたんだよ」


ついさっきの事ですら忘れてしまう沙紗くんに、杏那くんはどうやら呆れ半分怒り半分……といった所でしょうか。
やはり、子供たちは元気ですね。僕もこのくらい、生力があれば良かったんですけれど。


「む……。そういう杏那はどうなんだよ!」


そう言いながら、沙紗くんは怒ったように頬を膨らませる。
しかし、片割れがそれに動じることは無かった。


「別に、お前との会話に使う脳の容量なんて無いから……」


「まぁまぁ、二人とも。1度、深呼吸でもして落ち着きましょう」


以前に聖女さまがしていた事を真似して、いがみ合っている彼らをどうにか落ち着かせようとしてみる。

ーーなんて、本当は宥める気は一切無いんですけれど。
僕はあくまでも、彼らの前で「優しい大人」という虚像のままで居たいだけだ。

そんな誠意の無い僕の仲裁が、ヒートアップした2人の少年たちの耳には届くはずもなく、彼らは僕抜きでの議論(喧嘩)を白熱させていた。


「はぁ……」


彼らの議論内容があまりにも小さかったからでしょうか、僕の口からは自然にため息が出ていた。
さて、ここからどうしましょう。ーーあぁ、早くAさんが来てくれないだろうか。

そんな祈りも虚しく、その時の僕の元にAさんが駆けつけてくる事は無かった。

・→←1-4:魔人と少年



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びねつ(プロフ) - 夜のお魚さん» お褒めいただきありがとうございます……😭😭そう言って頂けると凄く嬉しいです🥲応援を糧に更新頑張ろうと思います‼️👍 (2月27日 20時) (レス) id: 50028a7fa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:びねつ | 作者ホームページ:-  
作成日時:2024年2月25日 20時

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