夢物語 ページ5
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『私は少し心配なの。アイドルだから過激なファンだっている。
世間にバレれば子どもだけじゃなくてアイまで何されるかわからない。』
私はずっとそれが怖かった。
アイがアイドルを始めた理由を私は知っている。
私たちは__施設からの親友だったから。
私は両親のことなんて憶えちゃいない。
どうせ記憶にも残らない存在だったんだ。
今更どうも思わない。
アイは母親に捨てられた。
窃盗で逮捕されて、釈放されてもアイを迎えに来なかった。
私たちは“愛”を知らない。
アイドルになればファンを愛せると思った。
誰かの推しになれば、愛が知れると思った。
「...母親になれば子どもを愛せると思ったの。」
今日が過ぎれば明日が来るように、母が子を愛すのは当然だと世間は謳った。
私たちにとってそれは、夢物語だった。
『...そうだね、そうだよ、きっと。
アイなら子どもを愛せるよ。
嘘が本当になっちゃうね。素敵じゃん。』
きっと私はひどい顔をしていた。
涙腺が壊れかけていたし、目元はじんわり熱かったし。
『アイ、私は隣にいるから。』
「心強いなぁ、ありがとう。」
だからアイも隣にいて。
ずっと隣に居させて。
。。。。
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○ 恋する歌声。
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○ 普通にかわいい。
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○ ライブ楽しみにしてる〜!
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○ 体大事にしてね。
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● ライブで全然楽しくなさそう。
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病院から程近いホテルで最新のコメントを眺める。
いつもくるのは本当のことに近いアンチ。
数が多いわけではないが さすがにしつこい。
気にする程度ではないから、いつも無視している。
褒め言葉は嬉しい。
自分自身の自信に繋がって。
嬉しいから、愛すことだってできるはず。
そう思って私は この活動を続けている。
私の名前は冬井A。
『フユミン』として音楽活動を始めた。
楽曲のカバー、歌ってみたを投稿している。
いわゆる【歌い手】だ。
思った以上に活動は伸び、歌い手の友達もできたほどだ。
活動休止の投稿をして 少しアンチが増えている。
休止とは程遠い意見だが、目に入ってくる。
鬱陶しい、そう思って通知を切った。
『今日は疲れたーー、もう寝ようかな。』
アイから妊娠したとて聞いて、その後ずっと付き添いをしていた。
付き添いは私から頼んだことだけど。
ベッドに倒れこんで、瞼を閉じた。
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りる - 初コメ失礼します!!!いい感じに歌い手が推しの子に溶け込んでいて、もう好きです!!!!応援してまふ! (11月24日 18時) (レス) @page15 id: 088b936db2 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (10月19日 12時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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