復讐劇 ページ20
。
「おい。まだかかるのか ルビー。」
「もーっ!ちょっと待ってってば お兄ちゃん!」
準備に時間をかける妹。
スカートが短いと注意をすると「おっさん臭い」と言われた。
元気で能天気な双子の妹。
「あ、そうだ!」
何か思い出したように声をあげた妹を横目にオレは歩き出した。
今はもう亡き母に「いってきます」の挨拶をする。
いってらっしゃい、その声は二度と聴こえない。
静まり返った家の扉を そっと閉めた。
目を背けるように、自分の感情を隠すように。
歩き出すと不思議と話題が無くて。
空を見て、青々とした庭の木を見て、足元に視線を落とした。
「...ね。お姉ちゃんはいつ帰ってくるの?」
隣を歩く妹__ルビーが話題を振った。
オレは数秒黙った。
妹の期待、絶対と言えそうな予想。
どちらを優先すればいいか最適解を考えていた。
「...アイツは帰ってこない。たぶんな。
けど、どうしても会いたいなら連絡は入れておく。」
ルビーの期待に応えれるだけ配慮した。
オレの答えを聞いてルビーは視線を反らして笑った。
オレの言った本当の意味を理解したから。
アイツは始めたんだ。
アイツなりの復讐劇を。
オレもオレで、自分なりの復讐劇を始める。
。。。。
《la la la la__、》
ヘッドフォンから聴こえる曲。
歌っているのは限りなく自分に近い声。
ベース、ギター、ピアノのメロディ。
ミックスされたボーカル。
全て一人で作ったのは久しぶりだ。
15年ぶりに曲を作った。ありきたりな失恋ソング。
攻撃的な言葉と重たい愛。
聴き終わって 自分を鼻で笑った。
ざまぁみろ、とでも思っておこうか。
家を出てから半年。
前世の貯金から 必要物資を集めた。
新しい機材を揃え、前世で住んでいた部屋を借りて。
スマホのデータは全て今のスマホに移した。
星野ダイヤモンドは冬井Aを被る。
__全ては復讐のために。
毎日毎日殺意を積み重ねていた。
私の人生を踏みにじった奴を殺すために。
道を反れ、自分を塞ぎ殺した。
殺すためなら死んでもいい。
最悪な殺し方で痛めつけてやりたい。
そう思っておかないと、気が気でなくなるから。
そう思わないほか どうしようもなかったんだ。
『...私の人生返してよ。』
私は幸せだったのに。
隣には自然と仲間が居た。
涙が出るのはいつも笑った時だったのに。
くそやろう。
。
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りる - 初コメ失礼します!!!いい感じに歌い手が推しの子に溶け込んでいて、もう好きです!!!!応援してまふ! (11月24日 18時) (レス) @page15 id: 088b936db2 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (10月19日 12時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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