代償 ページ17
。
切りの良いところで終わると、三人は拍手をしてくれた。
ここで私は覚悟を決めた。
「冬井A」を終わること。
『星野
夢を諦めること。
『___ファンです、お二人の。』
前世で練習した笑顔で笑った。
きっと上手く笑えていた。
私はこのときのために笑顔を練習していたんじゃないか。
そう思うほどだった。
。
「ダイヤが二人のこと知っていたのママ知らなかったよ。
何気にダイヤの笑顔見たの初めてかも知れないなー。」
『そうかな。』
確かにアイの言う通り、転生してから三年 笑えたのは初めてかもしれない。
それなら悪いことをした。
やっぱり、アイには普通の子どもを産ませてあげたかった。
「ママの親友ね、Aって言うんだ。
ギターも歌もすっごく上手くてね。
ダイヤに会わせたかったなぁ。」
笑うアイはどこか無理をしている。
私がAなんだ、そう思うことはもう辞めた。
『私も上手くなる。
そしたら“ママ”に曲作ってあげる。』
「ほんと?嬉しい〜!」
本当だよ。必ず。今度は約束を守る。
約束、守るから。
だから___、
。。。。
『ママ、お誕生日おめでとう。』
朝起きて一番初めに伝えた。
今日はアイの二十歳の誕生日。
そして初のドームでのライブだ。
「ありがとうダイヤ〜〜!!」
抱きしめてくるアイの背中に手を回した。
親友として言ってあげられたら どんなによかったか。
いいや、その事はもう私に関係ない。
続けざまにルビーやアクアも祝う言葉をかけた。
幸せな家族、幸せな仕事。
やっぱりアイならできると思っていた。
私は幸せだよ。
。
“ピンポーン”
前に一度聞いた、インターホンの音。
社長たちが迎えにきたのかな、そう思ってアイが玄関へ出た。
微かに聞こえた男の声。
聞き覚えのある声だった。
誰だっけ。
間違いなく社長ではなかった。
「...アイ?」
不審に思ったアクアがリビングから出ようとドアを開けた。
私も気になって後に続いた。
ドアの向こうには 想像を絶する光景が広がっていた。
床に夥しい血溜まり。
アイの腹部から出血していた。
医学に関する知識は下の下。
それでも20年以上生きていた、『これはヤバイ』と思う本能が働いた。
アイが、危ない。
そんな最悪を掻き消すように男は叫び散らしていた。
全て雑音にしか聴こえなかった。
。
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りる - 初コメ失礼します!!!いい感じに歌い手が推しの子に溶け込んでいて、もう好きです!!!!応援してまふ! (11月24日 18時) (レス) @page15 id: 088b936db2 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (10月19日 12時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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