雨上がりの景色 ページ16
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アクアとルビーはアイの出演したドラマを見返していた。
それに夢中で私がドアの隙間から、三人の会話を盗み聞きしていたことに気付いていなかった。
そして三人も私のことに気付いていない。
「メールでお話ししていたように、Aちゃんのことについて聞きにきました。」
まふくんの声が耳に入る。予想していた通り、私の話だった。
「Aちゃんが休止したのとアイさんが休止したのが ほぼ同時だったので何か知らないかと思って。」
たぶんまふくん一人では心配だったから、そらるさんがついてきたんだと思う。
アイは二人に話した。
体調不良が重なったのは、どちらかの風邪が移ってしまったから。
その後 二人で宮崎へ旅行に行った。
そして私が行方不明になった。
概ね その通りだし、食い違う点はない。
ただ問題は二つだ。
私を殺したのは誰なのか。
そして何故アイのことがバレていたのか。
アイの非公開の名字や妊娠のことを知っていたことから、かなり身近な人らしい。
ファンではなくストーカーが疑わしい。
「ちょっと待っててね。」
アイがそう言って立ち上がった。
足音からして この部屋に来る。
言い訳なんて すぐには思いつかないわけで、アイが来る前に「練習場へ行こうとしていた」という程で部屋から出ることにした。
偶然を装って その場から離れた。
予想外にも上手くいって、アイも気に止めなかった。
練習場のドアを閉めきって ギターを持った。
重さもずっと持っているお陰でもう慣れてしまった。
音量を絞り、B小町の曲を弾いた。
その後に流行曲。好きな曲と。
何も考えずに弾く時が一番、私らしい私になる。
一人でいる時だけ、私は嘘の仮面を外せた。
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「上手いね。4歳でしたっけ。」
「そうそう!本当に天才だよねー!」
「すごい。」
練習場のドアを開けた三人。
まさか入ってくるとは思わなくて。
一礼だけして、逃げるのも失礼極まりない。
できたことは足元に視線を落とすだけ。
「このギター、Aちゃんのだね。」
「ほんとだ。」
二人と距離が縮まった。
目を合わせることも出来ず、気まずくなってアイを見ると ニコッと微笑んだ。
私はネックを持ち直した。
___彗星列車のベルが鳴る。
「after the rain」で最高に好きな曲だ。
弾き出すと、二人は固まった。
。。。。
【after the rain】
2017年に「そらる」「まふまふ」が結成した音楽ユニット。
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りる - 初コメ失礼します!!!いい感じに歌い手が推しの子に溶け込んでいて、もう好きです!!!!応援してまふ! (11月24日 18時) (レス) @page15 id: 088b936db2 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (10月19日 12時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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