訪問者 ページ15
。
一通り踊り終わった。
『踊れるじゃない。』
拍手をすると照れ臭そうにルビーは笑った。
アイドルになるルビーが目に浮かんだ。
さすがアイの娘だ。きっと上手くいく。
「ギター弾けたんだ〜。」
『前世からやってたから。』
ギターを褒められると、私も私で照れ臭そうに返事をした。
私は今世でも歌い手になるのかな。
それとも...
__まだ この現実を受け止めきれていない。
できれば夢であってほしくて、それを願い続けて早三年だ。
怖くてスマホは見ないようにしていた。
前世の記憶なんて忘れてしまいたかった。
けど、忘れたくなかった。
矛盾する思考は気分を害して、考えないようにすると無数に湧き出てくるのだ。
夢から覚めれば、前世に戻れたらいいのに。
そう思って私は目を閉じる。
。。。。
ピンポーン。
滅多にならない玄関チャイムが訪問を知らせてくれた。
アイが来客を迎え、また戻ってくる。
そう思っていた。
想像を遥かに上回って。
入ってきたのはアイだけじゃなかった。
見慣れた顔の__男が二人。
マスクと伊達メガネ、目立つ白髪の一人。
アイはお茶を用意しにキッチンへ。
二人はリビングにこじんまり座った。
アクアとルビーが警戒して距離を取った。
私も二人に流されるように ルビーの隣に逃げる。
心臓がバクバク音を鳴らす。
緊張なんて緩いものじゃない。
心臓が口から出そう、という体験を初めてした。
「...誰、あの人たち。ママの男?」
「二人も居ちゃおかしいだろ。」
二人が予想を立てるが 大きく外れている。
私は何も言えなかった。
ただ「普通の人見知りな子」を演じるだけで精一杯だった。
「はーい お茶どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
何も変わらない。
この声に対する感情は『懐かしい』の一言。
「アクア〜、ルビー、ダイア〜。
あっ、この子達は社長の子なんだぁ。今 社長たち出張だから。」
「...そうなんですね。」
呼ばれたので三人でアイの傍へ行った。
「この人たち、誰?」ルビーがアイに尋ねた。
「友達の友達だよ」とアイは答えた。
「こんにちは。まふまふです。」
「...そらるです。」
二人は小さく「こんにちは」と返した。
私は言えなかった。
「少しだけあっちの部屋で遊んでてくれる?
ちょっと三人でお話するから。」
アイは私たちを別の部屋へ促した。
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りる - 初コメ失礼します!!!いい感じに歌い手が推しの子に溶け込んでいて、もう好きです!!!!応援してまふ! (11月24日 18時) (レス) @page15 id: 088b936db2 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (10月19日 12時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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