未来のスター ページ14
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しかし その日の夜、練習場に入ったのを見た。
きっと一人で練習するのだろう、そう思って私は声をかけなかった。
その代わりに私は、『冬井A』の機材が置かれている部屋に入った。
ここに入ったのは三年近く空いている。
機材を避けて、ギターやピアノが置いてあるところまで来た。
キーボードを動かすには 少し無理がある。
キーボードは諦めて、この体でギターを持てるかどうかだ。
「おおっと、壊しちゃだめだよ!」
後ろから声が聞こえて、肩が跳ね上がった。
...見つかった。
アイがドアの前にいた。
私が入ったときと同じように、機材を避けながら私のところまできた。
「...ギター、弾いてみる?」
『うん。』
必要なケーブルと機材を持って、練習場へ入った。
案の定そこではルビーが練習していた。
何度も転んで、何度も立ち上がっていた。
「あれ?ダンスの練習?じゃあママも一緒にやろーっと。
ギターのセットってこれであってる?」
『うん、後は自分でできるよ。ありがとう。』
ダンスの練習をする二人を横目に私はギターをセットした。
アンプを繋いで音を調節する。
本当に私の部屋からそのままなんだ。
『...、おも、』
肩にかけると この体では少し重たい。
コードを一通り弾いた。小さい手では とてもやりにくい。
好きなリズムとコード、そして転調。
あの人が好きだと言ってくれたリズムだ。
思い出すことぐらい、許してくれる。
「...すごい!さっすが私の子!ヤバイくらいの天才だね!!
弾き方...誰から教えてもらったの?」
『...ユーチューブだよ。』
アイにまで嘘を吐いてしまった。
最もな理由にアイは頷いた。
平気で私は嘘を吐くんだね。
アイの練習している曲を弾くと、アイはイヤホンを外してルビーと踊りだした。
ルビーはまだまだふらついていて、よく転けていたけど。
それでもルビーは立ち上がった。
。
皆が寝静まった夜、私は前世を忘れないように ギターを弾いていた。
過去に作った曲、大好きだった曲。
この時だけ、私は冬井Aに戻れた気がした。
「ねぇ。」
『...ルビー。』
すると、ルビーがやってきて、「あの曲を弾いて」と言われた。
思いつくのは今日弾いた、B小町の曲。
二つ返事で了承して私は弾き始めた。
小さかった動きは大きく胸を張った動きに。
ふらついていた足は快調なステップを刻んだ。
受け身を取るように動いていた手は、誇張する動きへ。
ルビーとアイの姿が重なった。
。
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りる - 初コメ失礼します!!!いい感じに歌い手が推しの子に溶け込んでいて、もう好きです!!!!応援してまふ! (11月24日 18時) (レス) @page15 id: 088b936db2 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (10月19日 12時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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