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フィクションの世界へようこそ ページ2





この物語はフィクションである



というか、この世の大抵はフィクションである。
捏造して 誇張して 都合の悪い部分はきれいに隠す。
ならば、上手な嘘を吐いてほしいのがファンというものだ。



私たちが生きる世界で 嘘は武器だ。



_______

___




『......今なんて言ったの?』


耳に入った自分の声は、聞いたことのないぐらいに低くて、怒気のような感情を含んでいた。
目の前の相手を威圧して、睨みあげた私の目。


「えっと〜…子ども......できちゃった。」

『大丈夫聞こえてるし、あんたのお腹見ればわかるし。』

「あはは、だよね〜!」


目の前の__苦笑する友人。
紫色がかった髪に、天性の瞳。
私が好きだと言った笑顔を浮かべていた。


『...アイ、まじで言ってる?』

「...この後病院で見てもらおって話になってるんだ〜、」


友人__星野アイ。
最近人気を上げている「B小町」のセンターだ。
そう、彼女はアイドルなのだ。


『...相手は誰?』

「んー...えへへ!内緒!」

『...アイ..あんたねぇ...』


平常を纏いながらも心臓はバクバク音を立てていた。
アイドルの友人が妊娠、しかも十六歳で。
それでいて笑顔を保てるアイが 少し恐ろしく見えたから。

もしもメディアにバレてしまったら?
十六歳で妊娠したことがメディアに漏れれば、アイだけでなくB小町の事務所「苺プロ」まで一貫の終わりだ。
アイの友人、いや親友として私はどうしたら良いのか。


『ねえアイ、なんで私に言ったの?
もしかしたら私から漏れる可能性もあるんだよ?』

「親友だからだよ。」


即座に答えたアイは笑っていた。
危機と隣り合わせにしているとは思えない。
なんともないように振る舞っていた。

この言葉で私はどうするべきかわかった気がした。
浅く溜め息を吐いて、口角を上げた。


『...まずは活動休止しな。無期限のね。
それから 田舎の産婦人科を受診しよう。』

「さすがA!理解が早くて助かる。」


私も活動を休止する、そう言うとアイは黙った。


「どうして?Aが休む必要ないじゃん。」

『私だって親友の出産立ち合いたいし。』


そう言うと なんだか嬉しそうな表情をした。
少しだけ自分の笑顔が柔らかくなった気がする。


『...それにしてもでかいお腹ね。何人入ってんの?』

「五人くらい?」

『五人も入ってたら破裂するでしょ。』



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りる - 初コメ失礼します!!!いい感じに歌い手が推しの子に溶け込んでいて、もう好きです!!!!応援してまふ! (11月24日 18時) (レス) @page15 id: 088b936db2 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (10月19日 12時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨音雨音 x他1人 | 作者ホームページ:無いっス。  
作成日時:2023年8月1日 22時

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