疑似恋愛カップルの日常【実話】

6．これが、初恋なんか ページ7

.






そうか。私は、ハナの彼氏になりたいのか。






友達との会話で、唐突に気づいた。

そう思うと、不思議なくらいにストンと自分の胸の中に落ちてきて、靄がきれいに晴れていった。








私、いや、僕は、ハナが好きなんだ。







ハナの彼氏になりたいんだ。








最近、男みたいに振る舞ったり、女の子だと区別されるのが嫌だと感じたりしたのは、




僕が、ハナを、好きになってしまったからなんだ。







スッキリしたと同時に、どうあがいてもハナの彼氏にはなれないと自覚する。


そして、この想いは絶対に誰にも知られてはいけないことも。





気分は最高で、最悪だった。








ハナ「大丈夫？」


フリーズしていた僕に、心配したハナが声をかけてくれる。







好きだと自覚した途端、ものすごく可愛く見えるのだから、不思議だ。


そんな事を考えながら、この気持ちは絶対に誰にも明かさないと決意する。







本物の彼氏になれないなら、疑似彼氏でいいじゃないか。


今のまま、いちゃついていれば、そのうちあきらめが付く。








こう考えた当時の僕には今すぐハナから離れろ、この先きついぞ、と声をかけたいところだが、


残念ながらこの先も、ハナと擬似カップルを演じて、自分の首を苦しめることになる。(馬鹿め)









こうして密かに決意を固めた僕は、この胸の内を誰にも悟られることのないように、


分厚い仮面をかぶって、なんでもないように振る舞った。






『ごめん、ぼーっとしてた。いこっか。』



誰にも、気付かれないように。


ハナに、悟られることのないように。


自分さえも、騙して。









．

7. ああああああもう好きっす→←5. 彼氏になれない自分

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す