【花巻貴大】▽手の冷たいワタシと▼手の温かいオレの話。

オレの話。06 ページ18

何気無く携帯を開いていると、Aからメッセージが来て。


らしくない文を見て心配になった。


返信することも忘れて電話をかけて。


声をきくと、元気がない。


「かまってちゃんなの珍しいな」


『そう？…あ、無理して相手しなくてもいいからね？』


そう言うわりに、声は寂しげで。


今すぐ抱き締めてやれたらいいのに、と叶わないことを思った。


体温の低い彼女を温めるように優しく、包み込んでやれたら。


「…切らねーよ。俺もAと喋りたいし」


『うわ、すごい嬉しい』


今


抱き締めてやろうか、とか


手繋ぎてぇな、とか




好き、とか




Aに言ったら、彼女はどんな反応をするだろう。


『花、いつもありがとね』


「…こちらこそ。…ほんと、会いたい」


『……私も』


花と手繋ぎたい


小さく聞こえたそれは、注意してなかったら聞き逃していたであろうほどか細くて。


それでも俺はちゃんと聞いていた。


同じ、じゃん。


俺と一緒のこと、思っていたのか？


「あーー…。どうしたんだよ今日。ほんと可愛いな」


『や、やめてよ！本気で照れるわ！！』


溢れでる【好き】が止まらない。


「うん…ほんと、可愛い」


『っ…！は、花だって、部活してるときとかさり気なく優しかったりするとことか、かっこいいよ…。……うぁー！！恥ずい！切る！今日はありがとおやすみ！』


彼女との繋がりが突然途絶えて、一呼吸おいてから、こみ上げてくる熱。


「うっわ、ないわ…こっちも恥ずかしいっつーの…」


嬉しくて、好きで、熱くて。
体がどうにかなってしまいそうだ。


…Aは


ここまで好きにさせて、俺をどうするつもりなんだ。


…バーカ。

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