検索窓
今日:31 hit、昨日:19 hit、合計:93,093 hit

ページ38





紀田「そうだ、ナンパに行こう」


パタリと教科書を閉じながら、聞き覚えのあるコマーシャルの口調で呟いた正臣。
未だ大半の人間が制服を纏っている状態で、既に私服である。目立つ事この上ない。


帝人「なんでここにいるの……」


彼の存在に先刻から気づいていたのだが、帝人はその時点でようやく突っ込みを入れた。

教室内に教師の姿はなく、出席番号1番の男子が仮初(かりそめ)の司会者となって議事を進行させていた。



『えー、美化委員が山崎君と西崎さん、保健委員が矢霧君と朝倉さん、風紀委員が葛原君と金村さん、選挙管理委員が……』

この学園では基本的に男女一名ずつが各委員に選出される。黒板に書いてある事をいちいち口で確認しながら、司会者が次になすべき事を考える。


「……」


そんな、学期のはじめにある活動を、拓志は頬杖をついて、ぼんやりと黒板を眺める。

因みに、彼は自身の立候補により、選挙管理委員になった。



『クラス委員がまだ決まっていないのですが、誰かいませんか』

紀田「ハ……」


先程から、このクラスの一員ではない者が紛れ込んでいるが、誰一人突っ込まない。

その為、拓志は彼に声をかけるべきか迷っているところだった。



(帝人くんの友達か……確か、名前は、えっと)



『紀田くん』


「……!?」(そうそう、紀田くん……


って、ぇえ!?)


拓志が悶々と、彼の名前を思い出していると、正解と言える単語が、彼の耳を通り抜けた。

そして、正解を教えてくれた、声の正体に反射的に目を向け_____唖然とした。



『いつから君は、A組の生徒になったんだ』
紀田「うわっ、梨恋!!いたのかよ!?

あっ、因みにこいつは、図書委員であり、暴走した俺の世話係だ」

『……自分で世話係とか言っちゃうんだ』




「せ……ん、ぱい……?」



聞こえるか聞こえないかの声で、呟いた。


驚くしかなかった。


_____何故、彼女が“此処”に?


その疑問が、拓志の頭の中を一気に支配する。しかし、幾ら考えても謎は深まるばかりだ。



帝人「えっ、えーっと……」

「あ、折角だから紹介するぜ!


俺が前言った、『餓鬼の頃からの知り合い』がコイツだ!」
『へぇー…



あ、邪魔したみたいで、ごめんね。(スッ』

「……?」


と、彼女が、拓志の机に(もた)れ掛かった。



帝人「い、いえ……」

〃→←第18話再会



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (348 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
75人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユキ(プロフ) - エレインさん» ありがとうございます!これからもがんばります。 (2016年8月22日 15時) (レス) id: 2b716bd248 (このIDを非表示/違反報告)
エレイン - とっても可愛らしいイラストで感動しました!小説も面白いし素晴らしいです!これからも頑張ってください! (2016年8月22日 11時) (レス) id: b8676a81ac (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - あおがみさん» あれ?知らなかったんですか? (2016年5月15日 4時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
あおがみ(プロフ) - 鈴村ってお人よしだったんだw初耳ぃ!w (2016年5月15日 1時) (レス) id: d3ead911d5 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - あおがみさん» それが鈴村さんと言う男ですよ、鈴村さん (2016年5月3日 22時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユキ | 作者ホームページ:  
作成日時:2016年4月7日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。