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「ねぇ、このままでもいいから。話して?」









未だにチェーン部分だけ開いたドア越しに話す私たち。

コイツは、一向に帰る気配がない。









「私が話したくないことは無理に聞かないんじゃないの。」

「今日は無理。聞く。」

「どうして?」

「今聞かないと、Aちゃんが消えて無くなりそうだから。」









ずっと俯いたままだった私の頬を優しく撫でた。









「...分かった。開けるから待って。」









一度ドアを閉めて、深呼吸してから、チェーンを外してドアを開けた。









「よかった。開けてくれないかと思った。」

「この状況でそんな事しないよ。」









玄関の鍵を閉めて、振り返った瞬間に抱き締められた。









「ちょ、なに。」

「本当に今日ご機嫌斜めだね。」









肌に触れるコイツの服や体温が冷たい。

そうか、最近朝晩は冷えるのに、Tシャツにスウェットだなんて、寒いじゃない。









「なんでこんなに薄着なの。」

「今気づいた?だってAちゃんが泣いてたから。」









あぁ、やっぱりバレていたのね。









「よし、とりあえずあったかいコーヒーでも入れてよ。」

「あんたねぇ...」









勝手に人の家にズカズカと上がり込み、ドサっとソファーに座って、携帯を弄りながらそんな指示を出してくる。

ったく、ここは誰の家なのよ。









「...さっきね、幼馴染くんに会ったよ。」









ドキッと胸が脈を打って、動かす手が止まった。

勝利に、会ったの...?









「夕方くらいかな?珍しくスーツなんて着てたけど、なにかあったの?」









きっと、ちょうど弟の葬儀の時だ。









「死んだの。」

「え?」

「弟が、死んだの。」









2人の間に、沈黙が訪れる。

体が、震え出す。









「春から海外行くって、はりきってたのに...」









コーヒーに、雨が降る。

私の涙が、雨となり、黒い水溜りを揺らす。









ふわり、と、さっきとは違って暖かいものに包まれた。









「大丈夫。大丈夫。」









涙と嗚咽が止まらない私を、包んだ。

知ってか知らずか、私のお気に入りのブランケットで。









「俺ね、Aちゃんの事好きなの。」









相変わらず、予測できない言葉とともに。









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はる(プロフ) - あらたさん» あらた様 うわー!本当ですね!すみませんご指摘ありがとうございます!これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2017年11月6日 2時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - 設定に変わってしまっているのかなと思います。なにか考えがあってでしたら申し訳ありません。これからも更新楽しみにしております! (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - こんばんは!初めまして。作者様の書かれるストーリーだけでなく、言葉や作品の雰囲気やリズムなど全部がツボです(;_;)作者様のお話が大好きです〜!それと私の間違いだったら申し訳ないのですが、68では主人公は夏生まれとなっていますが70では11月?あたりの→ (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 未空さん» 未空様 もったいないお言葉をありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。 (2017年10月26日 1時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
未空(プロフ) - 今1番好きな作品です!続き楽しみにしてます! (2017年10月24日 0時) (レス) id: 0d0a977df5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はる | 作成日時:2017年9月13日 2時

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