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「松島はさ、良くここ来てたの?」
「住んでた。」
「は?!」
「最初の2週間くらいだけね。後はほとんど違うとこで寝泊まりしてた。」
2人とも小柄だったから、セミダブルのベッドで十分だった。
私物は捨てたものの、この部屋自体に思い出は沢山詰まってる。
だから、風磨が一緒に住もうって言ってくれた時、嬉しかった。
「うわー、なんかヤダ。Aちゃんと松島が...って考えたら、超ヤダ。」
「やめてよ。」
煙草を空き缶にこれでもかってくらい押し付けた後、風磨は私の手を引いて部屋に戻った。
「寒い〜。」
なんて言いながら、ブランケットごとギュッと抱きしめてくれた。
だから私は、ブランケットを伸ばして風磨を抱きしめた。
「ふふ、抱きしめて欲しかったんでしょ?」
「え?」
「顔に書いてあった。てかさっきの嫉妬超可愛かったんだけど。」
「うるさ。」
「携帯に嫉妬するとかさ、前までなら面倒で怒ってたけど、Aちゃんは可愛すぎた。」
恥ずかしすぎて何も言い返せないままでいると、風磨はぎゅうっと力を強めて私を抱きしめた後、サッと離れて寝室へと戻った。
あ、ちょっと寂しい。
動けないままでいると、寝室から風磨が顔を出して私を呼んだ。
「早く来てよ。俺も寂しい。でも寒いからあったかいベッドの中で抱きしめてあげる。」
もう、そんな優しい顔で言わないで。
だってほら、自然と足が風磨の方に向かってる。
風磨の声帯って、声って、誘導薬とか誘導呪文みたいなのある?
「寒い〜。でもあったかいね。」
「うん。」
「ここいつまでの契約?」
「今月いっぱい。」
「もうすぐじゃん。早く本格的に引越ししないとね。」
「風磨に時間がある時でいいよ。」
「知り合いに軽トラ運転出来るヤツいるから、聞いとく。」
「分かった。」
風磨の声ってもしかして睡眠作用もある?
少し煙草の匂いが残る風磨の腕に抱かれて、私は自然体眠りについていた。
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はる(プロフ) - あらたさん» あらた様 うわー!本当ですね!すみませんご指摘ありがとうございます!これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2017年11月6日 2時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - 設定に変わってしまっているのかなと思います。なにか考えがあってでしたら申し訳ありません。これからも更新楽しみにしております! (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - こんばんは!初めまして。作者様の書かれるストーリーだけでなく、言葉や作品の雰囲気やリズムなど全部がツボです(;_;)作者様のお話が大好きです〜!それと私の間違いだったら申し訳ないのですが、68では主人公は夏生まれとなっていますが70では11月?あたりの→ (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 未空さん» 未空様 もったいないお言葉をありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。 (2017年10月26日 1時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
未空(プロフ) - 今1番好きな作品です!続き楽しみにしてます! (2017年10月24日 0時) (レス) id: 0d0a977df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2017年9月13日 2時