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夜、私の家の小さなベッドに2人で潜り込む。
「寒い。」
「寒いね。」
風磨は珍しく、私に背を向けて携帯を触っていた。
「風磨、寒い。」
「俺も寒い。」
バカ。気づいてよ。
そもそも、私が風磨に会いたかった理由は、ぎゅーって抱きしめて欲しいからだった。
顔見て、美味しいケーキ食べて、ちょっと口喧嘩して、すぐ仲直りして、お風呂入ってたら忘れてた。
ほら、あるでしょ?
思い出した途端それをしてほしくて仕方なくなる衝動。今、それ。
「あー、そうなんだ。そうだったんだ。風磨の彼女って携帯だったんだ。もういい。」
「え、ちょっと、Aちゃん?」
壁側に寝ていた私は起き上がって、風磨に触れないよう足元の方から降りて、リビング側にあるベランダに出た。
ほら、また可愛くない。携帯に嫉妬するとか、そんなにバカで重い女だったっけ?
あーもう。風磨といると分からなくなる。
「ほら、風邪ひくよ。」
「...」
背を向けていたから確かかは分からないけど、風磨は多分ベランダの戸を開けた時、頭を掻いて一度小さく溜息をついた。
そして、私のお気に入りのブランケットを私の肩に掛けた後、少し離れて煙草に火を付けた。
「あ、灰皿。」
「あるの?」
「......一応。」
ベランダの端に追いやられた缶ジュースの空き缶に押し込まれ、溢れかえった吸い殻を私は指した。
「え、Aちゃん吸わないよね?」
「うん。」
風磨は気まずそうに、"あぁ。" と気付いた。
私物は全部捨てたのに、これだけ捨てられないとか、私、気持ち悪い。
「松島って煙草吸うんだ?」
「うん。なかなかのヘビースモーカーだよ。今は禁煙してるらしいけど。ほら、キャラに合わないから、って。それほど私と付き合う事にストレス抱えてたんだろうね。」
あぁ、やっぱりぎゅってしてほしい。
風磨の匂いで落ち着きたい。
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はる(プロフ) - あらたさん» あらた様 うわー!本当ですね!すみませんご指摘ありがとうございます!これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2017年11月6日 2時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - 設定に変わってしまっているのかなと思います。なにか考えがあってでしたら申し訳ありません。これからも更新楽しみにしております! (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - こんばんは!初めまして。作者様の書かれるストーリーだけでなく、言葉や作品の雰囲気やリズムなど全部がツボです(;_;)作者様のお話が大好きです〜!それと私の間違いだったら申し訳ないのですが、68では主人公は夏生まれとなっていますが70では11月?あたりの→ (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 未空さん» 未空様 もったいないお言葉をありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。 (2017年10月26日 1時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
未空(プロフ) - 今1番好きな作品です!続き楽しみにしてます! (2017年10月24日 0時) (レス) id: 0d0a977df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2017年9月13日 2時