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結局昨日、勝利が夜中に帰った後、そのまま自分の家で寝た。
「うーわ。」
朝起きれば、携帯には不在着信とメッセージの通知だらけだった。
全部全部、風磨からの。
...とりあえず、電話するか...
「もしもし?!どこにいるの?!」
「うっ、るさ。家だよ...」
「は、ちょ、え?...はぁ。」
音量は極力小さくしているはずなのに、風磨の声は大きすぎて、頭にキーンと響いた。
「なんで溜息吐くの。」
「連絡も無しに消えないでよ。」
「だって、風磨が帰ってこないからじゃん。」
暫く沈黙が続いた。
あー、やっちゃった。面倒な女だと思われたかな。
そりゃ、風磨にだって帰って来たくない夜とか、顔の広い風磨なら先輩に連れられて〜とかあるかもしれない。
「...ごめん。」
「どうしてAちゃんが謝るの。」
「面倒でごめん。」
また、沈黙。
その後、風磨が小さく溜息を吐いた。
「ねぇ、Aちゃん。」
「なに?」
「今から会いに行ってもいい?」
「どうして?」
「ほら、ケーキ買っていくからさ。」
「...ケーキ屋さん寄ったら遠回りじゃない。」
「じゃあケーキいらないか。」
「いるよ。」
風磨はいつも行動が急だ。
それに、食べ物で釣ろうなんて、子供騙しじゃない。
「分かった。」
「ケーキも食べたいけど、早く風磨に会いたい。」
「なに?今日はやけに素直だね?」
「...気をつけて来てね。鍵開けとくから。」
恥ずかしくなって、それだけ言い捨てて電話を切った。
やっぱりオカシイ。
風磨を相手にすると、なんだか自分の調子が狂う。
早く会いたいとか、人を思う愛おしい感情とか。
そういうの、まだ持ち合わせてたんだ、って。
忘れかけてた自分の気持ちに気付かされる。
嬉しい。でも悔しい。けど相手が風磨だから許せる。
ほら、やっぱり矛盾ばっかりだ。
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はる(プロフ) - あらたさん» あらた様 うわー!本当ですね!すみませんご指摘ありがとうございます!これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2017年11月6日 2時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - 設定に変わってしまっているのかなと思います。なにか考えがあってでしたら申し訳ありません。これからも更新楽しみにしております! (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - こんばんは!初めまして。作者様の書かれるストーリーだけでなく、言葉や作品の雰囲気やリズムなど全部がツボです(;_;)作者様のお話が大好きです〜!それと私の間違いだったら申し訳ないのですが、68では主人公は夏生まれとなっていますが70では11月?あたりの→ (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 未空さん» 未空様 もったいないお言葉をありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。 (2017年10月26日 1時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
未空(プロフ) - 今1番好きな作品です!続き楽しみにしてます! (2017年10月24日 0時) (レス) id: 0d0a977df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2017年9月13日 2時