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「で、どうなの?」
「なにが?」
結局カレーの味は4種とも当たりで、評価し合うのは次に持ち越しになった。
「菊池先輩だよ。」
「あ、あそこのケーキ美味しいらしいよ。」
「...話逸らすなよ。」
いつになく真剣な勝利に、目を不自然に泳がせてしまう。
「好きなの?」
「そんな訳ないじゃん。」
「気にはなってるくせに。」
幼馴染には隠せないのか、それとも、ただ単にいつも当たる勝利の勘なのか。
あながち、言っていることは間違いではなかった。
「でも、アイツは駄目なんだよ。」
「どうして?」
「健人先輩が、アイツだけは駄目だって。」
「俺は中島先輩の方が信用出来ないけどね。」
「どういう意味?」
「...だって、あの人、菊池先輩の嫌なとこしか売ってこないじゃん。なにか恨みでもあるのかな。」
「確かに。」
"ウチ寄っていく?" なんて勝利の言葉に甘えて、お邪魔させてもらった。
淡い色を基調とした勝利の部屋は、彼の穏やかさと優しさをそのままに表しているよう。
「あれ、ピアス復活させたの?」
「あー、うん。アイツがくれた。」
「聡?」
「いや、菊池風磨。」
「...ははっ、なにそれ。付き合ってもないのに束縛?」
「知らない。付けなかったら一日中うるさいから最近付けるようにしてるだけ。」
「それ超立派な束縛だよ。」
「だよね...」
ピアスはシルバーのシンプルな星型のもの。
アイツの耳にも、デザイン違いのゴールドの星型のピアスが付けられている。
なにこれ、冷静に考えたらペアものじゃん。
「気持ち悪。」
「今更?!」
大きい目を見開いて驚く勝利に、私は思わず笑ってしまった。
「確かに、気づかなかった私って相当バカかも。」
「なんか、さすがに菊池先輩に同情するわぁ。」
「うるさ(笑)」
「ま、いいんじゃない?聡の事引きずっててもあれだし、新しい恋もさ。」
「そうかもね。」
ごめんね、勝利。
気を遣わせるようなことを言わせて。
でもね、勝利。
もう、今の私には恋愛なんて出来ないんだよ。
恋することに罪悪感が住み着いてしまったの。
「ま、なんかあったらなんでも話して。その場にいなかったら電話でもいい。ここに来たっていい。待ってるから。」
私の頭を撫でた勝利は、優しく微笑んでいた。
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はる(プロフ) - あらたさん» あらた様 うわー!本当ですね!すみませんご指摘ありがとうございます!これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2017年11月6日 2時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - 設定に変わってしまっているのかなと思います。なにか考えがあってでしたら申し訳ありません。これからも更新楽しみにしております! (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - こんばんは!初めまして。作者様の書かれるストーリーだけでなく、言葉や作品の雰囲気やリズムなど全部がツボです(;_;)作者様のお話が大好きです〜!それと私の間違いだったら申し訳ないのですが、68では主人公は夏生まれとなっていますが70では11月?あたりの→ (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 未空さん» 未空様 もったいないお言葉をありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。 (2017年10月26日 1時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
未空(プロフ) - 今1番好きな作品です!続き楽しみにしてます! (2017年10月24日 0時) (レス) id: 0d0a977df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2017年9月13日 2時