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「ねぇ、俺、あれだけ口うるさく言ったよね?」
「はい。」
「風磨と付き合っても幸せになれないって言ったよね?」
私は今、空き教室で健人先輩に怒られている。
あ、ちなみに壁ドンってやつ。漫画とかでよく見るのよね。
「はぁ...まさか本気で好きとか言わないよね?」
「まだ本気かどうかは分からないですけど、好きです。」
「なら今のうちだよ。別れな。」
どうして健人先輩が私の恋愛事情を口を出すのか。
別に、いいじゃない。
私は健人先輩の親友の彼女。
別に、よくない?
「なんでそんなにも親友の価値を下げようとするんですか?」
「は?」
「まさか...アイツの事、好きなんですか?」
「...っ、」
心底呆れたような、そんな顔をされた。
なんなのよ。
こんなのただの冗談じゃない。
「冗談も通じないんですね、健人先輩は。」
「う、うるさいな。友達としてって意味かと思って答えに戸惑っただけだ。」
「友達以外になにがあるんですか。まさか恋愛感情だなんて言わないですよね?」
「バカなのかお前は!」
急に声を荒げるから、肩がビクッと反応した。
あぁ、ダメだ。
どうしても怒鳴り声だけは、苦手なままだ。
「...ごめん。そんな怖がらせるつもりじゃなかった。」
「い、いえ。すみません。」
少し続いた沈黙の後、教室のドアが開く音がした。
「あれ?中島?...Aちゃんと何してんの?」
「お前と付き合っても幸せにはなれないって説得してたの。」
「なーんだ。気づいてたの?」
「当たり前だろ。レイカな訳がないし。」
知らない女の人の名前が早速飛び出して、不安になる。
「はぁ。レイカってのは今日教室で叫んでた女のことね?あんな下品な女と誰が付き合うんだよ。」
「お前、松島に失礼だろ。」
「下品な女にはバカな男がお似合いだよ。」
松島...?
「まぁいいや。行こ、Aちゃん。...Aちゃん?」
「え、あぁ。ごめん。」
「どうしたの?体調悪い?」
「ううん、大丈夫。」
聞き覚えのある名字に、一瞬頭が真っ白になった。
そんなに世間が狭い訳がない。
松島なんて名字、この世には何人もいるんだから。
「......」
「...っ、」
そんな不安は、通り過ぎる時に言われた健人先輩の言葉で、忘れ去る事になった。
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はる(プロフ) - あらたさん» あらた様 うわー!本当ですね!すみませんご指摘ありがとうございます!これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2017年11月6日 2時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - 設定に変わってしまっているのかなと思います。なにか考えがあってでしたら申し訳ありません。これからも更新楽しみにしております! (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - こんばんは!初めまして。作者様の書かれるストーリーだけでなく、言葉や作品の雰囲気やリズムなど全部がツボです(;_;)作者様のお話が大好きです〜!それと私の間違いだったら申し訳ないのですが、68では主人公は夏生まれとなっていますが70では11月?あたりの→ (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 未空さん» 未空様 もったいないお言葉をありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。 (2017年10月26日 1時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
未空(プロフ) - 今1番好きな作品です!続き楽しみにしてます! (2017年10月24日 0時) (レス) id: 0d0a977df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2017年9月13日 2時