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「Aでしょ。」
「え?」
「菊池先輩の彼女。」
「な、なんで。」
「分かるよ。だいたい。幼馴染なめないでよね。」
少し呆れたように言葉を投げる勝利に、私は何も返せなかった。
「...別に怒ってないよ。それでAが少しでも前を向けるなら、俺はそれでいい。」
「...うん。」
「ま、菊池先輩は別れたら終わりだけど俺は幼馴染って特権使ってずっと隣にいられるからね。」
満足気に頭の後ろで手を組んで仰け反り、ドヤ顔をキメる勝利に少し笑えた。
私が笑うと勝利も笑う。
小さい頃から、ずっとそうだった。
「なにそれ。」
「勇樹も、それを望んでるよ。」
「え?」
「Aが幸せになる事を、アイツも望んでる。」
あぁ。そうか。
勝利も小さい頃から勇樹と仲良くしていてくれたもんね。
かけっこが遅くて泣きベソをかいていた勇樹に、陸上部の部長だった勝利が走り方を教えていたっけ。
そのお陰なのかは分からないけど、中学3年間はリレーのアンカーを努めていたっけ。
鼻の奥がツンとなって、目頭が熱くなってくる。
ダメだ。ここで泣いちゃダメ。家でもないのに。
この歳になって学校で泣くだなんて、カッコ悪いを通り越してみっともない。
「アイツの分も、なんて思わなくていいんだよ。」
「うん。」
「AにはAの人生があるんだから。生きたいように生きればいい。」
「ふふっ、なにその心理カウンセラーみたいなセリフ。」
「俺、将来の夢カウンセラーだから。」
馬鹿みたいに真面目な顔して言うから、一瞬信じてしまったけれど、"嘘だよ" なんてまたキュヒって笑う。
勝利、いつもいつも頼ってばかりでごめんね。
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はる(プロフ) - あらたさん» あらた様 うわー!本当ですね!すみませんご指摘ありがとうございます!これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2017年11月6日 2時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - 設定に変わってしまっているのかなと思います。なにか考えがあってでしたら申し訳ありません。これからも更新楽しみにしております! (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - こんばんは!初めまして。作者様の書かれるストーリーだけでなく、言葉や作品の雰囲気やリズムなど全部がツボです(;_;)作者様のお話が大好きです〜!それと私の間違いだったら申し訳ないのですが、68では主人公は夏生まれとなっていますが70では11月?あたりの→ (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 未空さん» 未空様 もったいないお言葉をありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。 (2017年10月26日 1時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
未空(プロフ) - 今1番好きな作品です!続き楽しみにしてます! (2017年10月24日 0時) (レス) id: 0d0a977df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2017年9月13日 2時