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「ねぇ。」
「なに?」
「一緒に登校するなんてマズくない?」
「どうして?」
次の日。
学校を休む気満々だった私を叩き起こしたのはコイツだ。
「いや、だって、アンタは人気者だし...」
「なんで?別に隠す事じゃなくない?」
「そうだけど、その...」
「なに?なにが不安?言ってくれたらそれから俺が守るから言って?」
そんな怒った顔してこっち見ないでよ。
今感じてる、周りの視線ですらしんどいのに。
「いい。なんでもない。」
「ふーん。分かった。」
教室に入ると、相変わらず騒がしいグループに入っていくアイツと、先に来て席を取っておいてくれた勝利の元に行く私。
ずっと影で暮らしてきた私と、日の当たる場所で育った彼。
ほら、やっぱり根本的なものが違うんだよ。
「おはよう。...大丈夫だった?」
「うん。ありがとう。一晩中泣いたらちょっと復活した。」
「そっか。」
勝利は、それ以上なにも聞いてこなかった。
気を使ってくれたのか、なんとなく察したのか、定かではないけれど。
「は?!風磨に彼女が出来た?!」
前の方の騒がしい集団から聞こえてきた大きな声に、肩がビクッと反応した。
「バカ!うるせえよ!」
「まって!いつ?!どの子?!可愛い?!」
ギャルっぽい子が、身を乗り出して聞いていた。
教室中の視線が、アイツにいく。
「俺からしたら、めっちゃ可愛い。」
「校内の女?!教えなさいよ!」
「本人がバラして欲しくないらしいから言わない。」
顔を赤くしながら話す彼女は、決してアイツの事が好きなわけではないと、前に健人先輩から聞いていた。
ちゃんと彼氏がいて、そういうことはきちんと弁えている子だとか。
「ついに風磨にも春か〜。大事にしなさいよ。」
「当たり前。」
「その子の事泣かせたら私がアンタの事締めるからね。」
「なにそれおかしくね?」
笑いを交えながら話す2人を、健人先輩はやたらと暗い顔をしたまま見た後、一瞬、こちらを見た気がした。
「...っ、」
その目があまりにも冷たくて、私は身震いした。
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はる(プロフ) - あらたさん» あらた様 うわー!本当ですね!すみませんご指摘ありがとうございます!これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2017年11月6日 2時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - 設定に変わってしまっているのかなと思います。なにか考えがあってでしたら申し訳ありません。これからも更新楽しみにしております! (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
あらた(プロフ) - こんばんは!初めまして。作者様の書かれるストーリーだけでなく、言葉や作品の雰囲気やリズムなど全部がツボです(;_;)作者様のお話が大好きです〜!それと私の間違いだったら申し訳ないのですが、68では主人公は夏生まれとなっていますが70では11月?あたりの→ (2017年11月5日 4時) (レス) id: b48a22250f (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 未空さん» 未空様 もったいないお言葉をありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。 (2017年10月26日 1時) (レス) id: ab803b53a8 (このIDを非表示/違反報告)
未空(プロフ) - 今1番好きな作品です!続き楽しみにしてます! (2017年10月24日 0時) (レス) id: 0d0a977df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2017年9月13日 2時