【刀剣乱舞】その縁、巡りゆく定め (ページ17)

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†漆佰伍拾陸† “狐神の記憶” ページ17

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伽羅「………だからと言って、
無闇に探しても見つからないと思うが？」

小烏「うむ。主は賢い。

術にも長けている故に、
早々簡単には見つけられぬ。
ホホッ、隠れ鬼は主は得意そうだ」

切国「ならどうしろと？」

鶯丸「主が行きそうな場所に心当たりはないか？」

燭台「行きそうな場所………

………！神、社？」

燭台切はふと九重が話していた事を思い出す。
それは幼い頃、妖怪に絡まれた際は
よく神社の境内に逃げ込んでいたと
言うものであった。

神が鎮座する神社。
鳥居は現世と神の領域を意味するゲート。
妖怪は容易には入る事は出来ず、
神域に入れば邪気も自然と清められると
九重は燭台切に話していた。

燭台「稲荷神社って近くに無いかな。
多分………知神がいると思うから、
一度聞いてみないかい？

他にも幾つか思い当たる場所はあるけど、
“彼女”は何か………知っているかも知れない」

───────────────

稲荷《ﾌｩ………やれやれ、いくら君達でも
こんな小さな末社から呼び出すとは、
神使いが荒いね…………》

切国「度々訪れていた癖に、
よく言ったものだな………」

小烏「ほう、これはこれは………
かの有名な稲荷大明神か。

人の身で会うことになるとは」

稲荷《刀工、天国(あまくに)の作の宝剣………小烏丸か。
君も顕現していたんだね。会えて光栄だよ》

ここはとある神社の末社。
末社とはその神社の敷地にある
本社に付属した神社の事である。

赤い鳥居が連なる物は皆、稲荷大明神のもの。
本社である伏見稲荷大社から全国に
多くの末社が派生されている。

小さな社でさえも、神には願いが届く故に
稲荷大明神は己の末社であるならば
どこからでも移動が可能である。

キセルを吹きながらやれやれと
半端呆れ染みたように溜息をつく女神は
尾を揺らしながら口を開いた。

稲荷《それで、君達から呼びかけるとは
何かあったのかい？》

稲荷大明神の言葉に、山姥切は少し躊躇いながらも
これまでの経緯を話す。

すると今まで山姥切の言葉に耳を傾けていた
稲荷大明神の顔が緊迫した表情へと変わる。
彼女は常に掴み所がない、
飄々とした女神ではあったが、
現在の彼女はどこか焦りを見せていた事に、

その場にいた全員が事の大きさを改めた。