【安室透】からかい上手の上司さん２【降谷零】 (ページ10)

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No.58 ページ10

私の中の何かが切れた音が聞こえた

この野郎…もう頭にきた

いつも、からかわれてばっかで…。上司の怒り具合にビクビクと怯えているのが馬鹿らしい。

感情で頭がいっぱいになっていて全身の血液が熱を持っていた状態だったのだが

私は頭の中で謎のスイッチが入り、すっと冷静になった。

そしてある覚悟を決めた

━━━━━━━━━━━この上司に”仕返し”してやろう。

俯いていた私はすっと目を閉じて、そして、ゆっくり目を開けてニヤッと笑った

「……別に守らなくていいですけど。」

私の発言に、皆はえ？と声を漏らして私を見てくる

私は顔を上げて上司をしっかりと見て、そして過去最高の笑顔を向けてこう言った

「━━━━━━━━━━━正直、安室さんよりキッドの方がタイプですし。」

私はそう言って照れる演技をする。

「「「ええええええええっ！！！？」」」

女子高生達とコナンくんは声を荒らげて驚いた。

蘭「え！？それは…男性としてですか！？」

「え？それ以外何あるの？近くで見ると美形でかっこいいよ。キッド。」

ま、実際美形だよな快斗は。そりゃ、あの二人の血を受け継いでいるし。

そんな事を考えながら言う

園「やばい…どっちを応援しよう…。」

蘭「い、いや！園子ちょっと…！！」

園子ちゃんがそう言って頭を抱える。蘭ちゃんは焦った様子で園子ちゃんの肩を揺らす。世良ちゃんもポカンと口を開けている

当の上司は

安「……へぇー……。」

私の顔を見て目を細めて額に青筋を浮かべ、私を見下ろしていた。

この姿をみたら公安メンバーは顔を真っ青にさせるだろうけど、今の私には通じない、スイッチが入った私を舐めないでもらおうか。

私は追い打ちをさらにかけて

「キッド”様”に盗まれるならむしろ本望だよね。」

と満面の笑みでそう言い放つ

安「━━━━━っ！」

上司は目を見開いて私を見た

世「え、今…！”様”って…！！」

「言ってなかったし、表に普段出さないけど、私、隠れキッドファンだよ。キッドのマジック好きだし。」

これに関しては間違いでも嘘でもない。私は素直にそう言うと

コナンくんは上司の顔を見てﾋｪｯと声を漏らす

安「……。」

無言で私を見下ろすその目は、瞳孔が開いていて、青い瞳が赤く見えるくらいに瞳の奥で何かが揺らめいて見えた

私も思わず息を呑むが、もう遅い。私は鳥肌を立たせているのがバレないように、負けじと見返して笑ってやった