【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀

ep43 ページ45

荘厳な趣を感じさせるこの国の中心と言っても過言ではない城を見上げる。

そう、ここは江戸城。



　



重要なことだからもう一度言おうか。


江戸城だ。








ん〜、と唸りながら腕を組んで首をかしげる。

参謀就任早々、こんな本拠地来ていいのかな？

ほらもっとさ、こう……なんて言うの？山場になってから「……ここが江戸城か――……」って感じで訪れたかったよね。

てか普通そうだよね！？なんでこんな何もない時にふらっと来ちゃったかな！？




「おぅ、ばなっちゃんご苦労さァん」


私をふざけた名前で呼びながら気怠げに現れた松平片栗虎にジトリと視線を注ぐ。


そうだ。長官(こいつ)に呼ばれたからだ。


「いえいえ松平長官こそ。お忙しい中お疲れ様でーす」


危うく消えそうになった笑顔をなんとか貼り付けて平べったい挨拶。

すると、松平さんの後ろに何やら頭巾を被った男がいることに気がつく。


んー、嫌な予感がする。
こんな何もない時に会っちゃいけない……というか会いたくない人No.1な気がする……。



「あァ、ばなっちゃん。こちら将ちゃん……」


将ちゃんと呼ばれたその男はサラリと頭巾を取って言った。


「江戸幕府第14代征夷大将軍、徳川茂々だ」


うわあぁ〜

こんなアッサリ！？アッサリ言っちゃうの！？



「……えーっと……真選組専属参謀、橘Aです。お目にかかれて光栄です」


仕方ないのでこちらも挨拶をする。


「で、長官。私はどういった件で呼ばれたんでしょう？」


まさか、将軍に会うためだけに呼び出したわけじゃないだろう。


「あぁ、将ちゃんが江戸の街を回りてぇって言うからちょっくらプラン立ててくれや」


いや、旅行会社にでも頼めよコノヤロー。
……なに、私そんなことのために呼ばれたの？



「1番安全で楽しいプラン……ばなっちゃんなら立てられるでしょぉ〜」




サングラスの奥で目を鋭くした松平長官。逃亡は許さないと言いたげなその視線を横目に心から思う。



　



…………公務員なんか糞食らえだ。




　

ep44→←ep42

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す