ep36 ページ38
ガシャガシャと乱雑めに扉を揺らす。
「ヤケ酒に付き合え銀時ー!」
しばらくして扉の向こうからドタバタと足音が近づいて来てガラリと扉が開いた。
「Aさん!」
「銀時いる?お酒買って来たんだけど」
酒を見せると「いますけど……」と歯切れの悪い返事が返ってくる。
「ったく、他所の門前で叫び散らす馬鹿がいると思えば――……」
いつも通り銀髪をぐしゃぐしゃと掻き乱しながら現れた銀時に私は凍りつく。
縦横無尽に巻かれた包帯とそこに所々見える赤黒い染み。微かな血の匂い。
持っていた酒がするりと滑り落ちた。
「お酒がっ!」とダイビングキャッチした新八君。
しかし私はそれを気にも留めず、靴を脱ぐことも忘れて銀時へと詰め寄った。
「……何があった」
「何もねぇよ」
「こんな怪我して何もない訳ないだろッ!!」
包帯に巻かれた銀時の腕を強く掴み上げる。
「……階段から転げ落ちただけ――」
「嘘吐けッ!!言えよ、誰にやられた!?」
声を荒げて問いただす私を銀時は真っ直ぐな目で見る。
「……カタならもう着いた。テメーが慌てることじゃねぇよ」
疑心暗鬼の私を宥めるように、新八君が「本当ですよ」と言った。
その言葉にほっとして、やっとまともに呼吸ができたような感覚になる。
はぁ……と大きく深く息を吐いてから、銀時の胸板に思いっきり頭突きを喰らわす。
「いで……」
「頼むから私の知らないとこで無茶しないでくれ」
銀時が傷付くのを見るのは恐ろしい。
師の首を刎ねさせた銀時にこれ以上何一つ背負わせたくない。
心配だとかそういう綺麗なものじゃなく、ただ私がどす黒い恐怖に駆られたくないから。あの景色を思い出したくないから。
「んで、テメーは何しに来たんだよ」
銀時の声で我に返った。
「言ったじゃん。銀時と酒呑みに来た」
そう答えた私に
「オイ神楽、酒に毒入ってねぇか毒味しろ」
「銀ちゃんひどいネ!私を殺すつもりアルか!?」
「夜兎なんだから蘇生できんだろ」
「夜兎を何だと思ってんだヨ」
待て待て、何で毒入ってる前提で話が進むんだよ。入ってないって。
「まぁまぁ、二人共。Aさんは毒なんて盛ってませんよ…………きっと」
「きっとって何!?そこは信じて!?」
「いや、すみません。再会が最悪だっただけに盛られてもおかしくないなって思っちゃって……」
思っちゃわないでほしかった……。
2857人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時