ep32 ページ34
屯所への帰り道。
「ったく、か弱い女子にこんな重い買い物させるなんて……侍の風上にも置けない奴らめ」
愚痴をこぼしながら歩くやっとやっとの3往復目。分かっちゃいるけど不平を言うくらい許してくれ。
しかもなに?両手に買い物袋いっぱいのこの状況に加え、まだ買い物があるだと?
なんだなんだ。あとは何を買えば――……
預かった買い物リストを見ると最後の欄に
『あんぱん×30個』の文字。
「ンなもん自分で買いやがれこんちくしょォオオッ!!」
思わず買い物リストを丸めて地面に投げつけ、踏んづける。山崎だな!?貴様だな!!
「あんぱんなんか買い貯めしなくても売り切れねぇよッ!!」
ようやく買い物リストが地面の砂と同化し始めた頃、
ザザッ――……と砂利を踏む音がした。
ふと顔を上げれば、目の前には鋭い目付きの浪士達。
「……どちら様?」
「真選組参謀、橘A殿とお見受け――」
「人違いでーす」
「あ、そうでしたか。それは失礼致しま――…ってなる訳ねぇだろ、いや待てよッ!!」
知らん顔して素通りしようとするが止められる。
……引っかからなかったか、と不貞腐れていると浪士の1人が進み出た。
「橘殿、貴君に二、三尋ねたいことがある」
「だから私、橘殿じゃないって」
「いいや、貴君は間違いなく橘殿だ。既に身バレしているにも関わらず小賢しく食い下がる性根の腐ったところがその証拠だ」
「なに失礼なこと言っとんじゃコラァァァ」
とブチ切れついでに攘夷浪士達の顔を見ると、知った顔がちらほら見えることに気がつく。
「……君達、攘夷戦争の時の――」
「お久しぶりです」
あぁ、成る程。ヅラの仲間が私の噂を聞きつけたって訳か。まぁ確かに毎日決まった時間に屯所を出て散歩する私は格好の獲物だろうな……。
「はぁ……で、何?その尋ねたいことって?」
「かつて攘夷志士として我等を先導した貴君がなぜあのような幕府の犬に…」
まぁそうなるわな。でもその話はもう先日、君達のリーダーと一通り終えたんだよ。
報連相しといてくれよヅラ。
うんざりしながら、何やら昨今の幕府は…とか攘夷の志は…とか語り出す彼等にあくびが出る。
「ふぁ〜……」
「ねぇ、聞いてるッ!?」
すみません。聞いてませんでした。
というか、聞く気毛頭ありませんでした。
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ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時