ep27 ページ29
――その頃、真選組屯所では
「あくまで探る気はねぇってことですかィ」
「あァ、それが契約条件だからな」
近藤、土方、沖田が膝をつき合わせていた。
屯所襲撃の事件以来、真選組内での信頼を得たAだったが沖田はそう簡単に引き下がらなかった。
それに加えずっと気になっていたのだ。あの胡散臭さ満載の参謀に対して何の対策も打たない近藤と土方が……。
試しに問いただしてみれば契約の条件でAの過去は詮索しない約束だとか……
「本気で言ってんですかィ?」
不信感をあらわにする沖田に、逆に近藤は問う。
「A君の何がそんなに気になる?」
そう聞かれて沖田は静かに指を組み、黙り込む。
そして次の瞬間――ガチャリ、とバズーカを構えて土方に尋ねた。
「さぁ土方さん、今からこれぶっ放しますんで避けてくだせェ」
「ンなことできる訳ねぇだろッ!!なに急に物騒なモン構えてんだ仕舞えよッ!!」
直ぐ目の前に構えられたバズーカに壮絶な剣幕で否定する土方。それを見て沖田は「ですよねェ」と呟く。
「でもAさんは避けたんでさァ」
沖田の鋭い瞳とその言葉に2人は言葉を詰まらせた。
「偶然じゃ…」
「偶然で至近距離からの弾、3発も避けられますかィ?」
「……。」
「しかも完全に弾道を目で追ってましたぜィ。まるで全部見えてるみてぇに」
再び部屋には沈黙が訪れる。
そんな中、ぽつりと沖田の問いが零れ落ちた。
「あの人……本当にただの人間ですかィ?」
そして口を噤んだままの上司2人に溜息をつくと
「あの人の素性を調べる調べないは近藤さんの決めることでさァ。だが何か起こってからじゃ遅いですぜ」
そう言い残して部屋を去っていった。
残された部屋の中で近藤は静かに口を開く。
「トシ……俺は彼女を信じたい。いや……俺に背中を預けると言ってくれた彼女を信じている」
その真剣な瞳に土方も返す。
「俺はアイツを信じる近藤さんを信じるだけだ」
“お前らのしょーもない罪悪感とか責任感とか伊東が全部あの世に持って行ったと思えばいいんだよ”
あの日のAの言葉にハッとさせられた自分がいたこと。その言葉で背中の荷が軽くなったこと。
近藤の“信じたい”という気持ちにどこか共感する自分がいることに土方は気付いていた。
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ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時