ep26 ページ28
―no side―
パフェをじっくり味わい終えたAはお代を払い、店を出る。満足して腹をさすりながら歩き出した。
そんな彼女を背後から尾ける影が2つ。桂とエリザベスは密かにAを尾行していた。
だが彼女はなかなか帰路に着かない。あっちの店、こっちの店とふらふら立ち寄っては道草を食っていた。
そんな彼女が不意に角を曲がり、姿を消したのは突然のこと。桂は瞬時に駆け出し、Aの消えた角へと飛び込んだ。
だがそこは行き止まり。彼女の姿は無い。
「……やられた」
「はーい、残念でしたー」
桂は背後から聞こえた懐かしい声に振り返った。
全身黒を纏った見慣れない、元参謀の姿。目深に被ったフードの隙間からは、にやりと吊り上がった唇が見える。
「こんな路地まで頭に入れているとは……相変わらずだな」
「ただの癖だよ、職業病」
ひらりひらりと手を振りながらいうAはふと思い出したように尋ねる。
「で、なんで尾けてきたの?」
薄ら笑いを貼り付けている彼女はおおよそ桂が追ってきた理由に見当がついている。知っていてそう尋ねるのだ。
そして桂も、彼女がそういう人間なのをよく知っていた。
「単刀直入に言おう。こちら側に来い、A」
真剣な表情をみせる桂に対し、大袈裟に目を見開いて驚いたふりのA。
「もしかして私、スカウトされてる?」
「お前の眼とその頭脳……もう一度攘夷のために使ってはみないか?」
表情を崩さない桂にAはやれやれというように肩をすくめた。
「それは私が今、真選組の参謀をやっていると知ってての台詞?」
「銀時から聞いている」
あんのお喋り……と不機嫌を滲ませたAだが、直ぐに溜息をつくと至ってさらりと答えた。
「悪いけど断る」
「何故だ。かつての敵に味方する理由などどこにある?」
そう問われるとAは面倒臭そうにフードを外し、前髪を掻き上げた。
「……私はもう自分の意思では戦わない。仕事にそういう自分の過去とか私情とか持ち込まないって決めたの」
頑として譲らない彼女の眼には薄暗いものが渦を巻いていた。
「ヅラだって解ってるはずだよ。何故、私がこの星を去ったのか」
「A……お前は自分を責め過ぎている」
その言葉に一瞬、Aは視線を鋭くした。
それに気付いて桂は溜息をつく。
「……ならば仕方ない。無理強いはしない主義だ」
「さすが逃げの小太郎。引き際をわきまえてくれて良かったよ」
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ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時