ep13 ページ15
「ちょっと話さない?」
私の台詞に少し驚いた顔をした銀時。
しかしすぐに「へいへい」と懐かしい生返事をして私の後に続いて店を出た。
人通りの多い道。その真ん中を並んで歩く。
「銀時達と別れてからも結局、参謀の仕事しかやってなくてね。今は真選組の参謀やってるの」
「……ふーん」
耳糞ほじくりながら関心なさげに相槌をうつ銀時。
「なかなか信頼が得られなくてねー。参謀は仲間からの信頼が前提の仕事だから困ってるんだよ〜」
「まぁ、てめーみたいな胡散臭い奴、信じろって方がむぐごォッ!」
光の速さで私の拳が銀時の鳩尾に叩き込まれる。
別に私の意志でグーパンしたわけじゃない。拳がなぜか自然にそこに吸い込まれていっただけだから。
「そこで君にアドバイスをもらいたいんだよ。いつのまにか周りに人の集まる人望厚々な銀時君はこんな時どうする?」
「てめーおちょくってんだろ」
じとりとした目でこちらを見る。
「嫌だなぁ〜私は至って真面目だよ?こっちは仕事かかってんだから」
ははは、と笑った私の横で銀時は耳糞をふっと吹き飛ばした。
相変わらずだな……。
「で、どうするの?」
「……どうもしねぇよ。てかどうも出来ねぇだろ」
その答えに懐かしさを感じた。
「ふふ、銀時ならそう言ってくれると思ってた」
にやりとする私に
「分かってんなら聞くな」
悪態を吐く銀時。
「分かってないなぁ、君の口から聞かないと意味ないんだよ。……で、そっちは今何してるの?」
銀時は私の興味津々な表情を見るとすかさず溜息を吐いた。
「言っただろ、万事屋だよ。何でも屋ぁー」
「これこれ、またすぐバレる嘘を〜。普通の何でも屋に夜兎が必要なわけないでしょーが」
宇宙の津々浦々飛び回った中で私は本当に出会ったことがある――宇宙最強と謳われる傭兵部族、夜兎族に。
彼女の容貌はまさに夜兎の特徴に当て嵌まる。透けるような白い肌に青い瞳、そして番傘。
あの時感じた嫌な気配だって戦闘民族からしか香らない特有のもの。
「あの眼鏡君は普通の人間みたいだけど……。ねぇ、何企んでるの?楽しいことなら私も混ぜて欲しいなぁ〜」
ふざけて銀時の顔を覗き込む。
「神楽は確かに夜兎だよ。でも俺らは普通の何でも屋。おめぇが思ってるようなことしてねぇよ」
髪を無造作に掻き乱す銀時の目を凝視する。
だが、まぁ嘘はないようだ。
へぇ、銀時が定職に就くとはねぇ。似合わね。
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ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時