ep11 ページ13
―貴女side―
「あ〜暇だ」
風の心地よい昼下がり。
煮込み過ぎた餅巾着のようにだらりとぼやく。
いや、分かってほしい。
初日カマしてしまった挨拶のせいで話しかけてくれる隊士なんていない。勿論、真選組の通常業務になんか参加させてもらえない。
これじゃあ食事と寝床を与えられているだけじゃないか!
悶々として頭を抱える。
いや、いいんだよ別に?私も出来るなら楽したい人間だし。でもね、今回ばかりはそうはいかないの。
ほら、さすがに何かしらは働かないとお給料もらえないでしょ?お給料もらえないと――……
「パフェ代500円が払えない……」
「新手の物乞いですかィ?」
手すりに背をもたれながら嘆いていると、背後に現れた沖田君が逆さまに見えた。
「おはよう。今日もサボり?てか、500円貸してくれない?」
「いいですぜ。利子、1秒につき500円払うなら」
……利子、1秒につき500円かぁ。
えーっと、ここからあの店までは往復20分でしょ。つまり20×60=1200秒かかるわけだ。
500円+利子の500×1200円で600500円、沖田君に支払うことになるね〜。
「――ってンな奴から金借りるかボケ」
あーほんとどうしよう。返せなかったら正真正銘食い逃げになっちゃうよ。1週間以内に払いに行くって言ったのにもう5日たってる……。
「でも仕事もしてないのに給料早めにくださいなんて言えない……!」
屯所の廊下でのたうち回りながら唸る私。だがそんな私を気にも留めず「そう言えば――」と沖田君は尋ねた。
「Aさんがいつも肌身離さず従えてるそのキャリーケース……何入ってんですかィ?」
「あーこれ?仕事道具と私の愛刀」
チャックを開けて中身を広げていく。
盗聴器とその受信機。
20個ばかりのインカムとその受信機。
トランシーバー数台にパソコンとケーブルの類いがにょろにょろ。
そして奥底に仕舞ってあった愛刀を取り出した。
「……Aさんそれ違法ですぜ。このご時世、一般人の帯刀は厳禁でさァ」
「え、帯刀って腰に差してるから駄目なんでしょ?鞄の中に仕舞っとけばいいじゃん」
実際、入国審査でも引っかからなかったし。
……ん?引っかからなくて良かったのかな?んーシステム的にはダメな気が――……
「ま、許可なら近藤さんからもらってるから大丈夫だよ」
そうそうそれより金だ、金。500円。
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ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時