#2 リーダーの憂鬱 ページ3
“犯罪者症候群”。
“禁忌の果実”を食べることで感染する未知の現象であり、数年前から起きている、国の最重要問題だ。
詳しいことは何一つ分かっておらず、果実を一度食べてしまえば終わり、という奇妙な病のような何か。
唯一、副作用として“特殊能力”が備わるとだけ判明している。
“ノアの方舟”は、そんな特異な症状に苦しむ症候群患者達を救うための組織だ。
10〜15人程度の“子供達”で結成され、その中にはクロッカスや柊明のような症候群患者もいる。
彼らは能力のペナルティを理解し、ある程度能力を正しく扱うことに慣れている者達なのだ。
多くの人間は禁忌の果実を口にすると、その代償の重さに耐え切れずに身体にダメージを受けたり、能力を上手く制御できず暴走してしまったりする。
噂に基づいて、そんな者達の元へ行き、救いの手を差し伸べるのがクロッカス達、ノアの方舟の役目……だと思っているのだが。
「……最近、不穏な空気を感じてさ」
ノアの方舟が(勝手に)本部にしている図書館にて、クロッカスは、ぼそりとそう呟いた。
「不穏な空気?」
「依頼が無さすぎると思うんだ……依頼っていうか、俺達の所へ入ってくる噂話だよ。何か、全然聞かないじゃんか。犯罪者症候群患者が増えた……ってさ」
平和になった、のか?俺達が何もしていない内に、世界から症候群患者が減ったのだろうか。そんなはずない、とクロッカスは思う。人間の欲望は無くならない。ただ自分達の耳に情報が届かないだけ。
「誰かが俺達を犯罪者症候群から遠ざけようとしてるんじゃないかなって……。でも、何で?何のために?」
「俺に聞かれても分からないけど……確かに俺達は政府に認められた存在じゃなく、あくまで慈善活動に入るからなぁ。誰かが俺達を邪魔だと思ったのかも……」
ノアの方舟が患者達の元に駆けつけなくなれば、暴走する人が増えてしまう。能力は強大で、使い方を間違えると危険なのだ。下手をすれば世界を破滅に追い込み兼ねない。
「これからの調査は少し慎重にした方が良いのかな。ねぇ、これって俺の、ただのいつもの妄想だと思う?」
「だと良いよなぁ。やだよ?能力で戦うなんて事態になったらさ」
「だよね、それは俺も嫌だ。服も汚れるし」
「女子か」
そんないつも通りのやり取りをしていると、背の低い少女がこちらに駆け寄ってくるのが見えた。
東だ。
「みっ、皆さん大変です……!!」
東は今にも泣きそうな顔で、路地裏で遺体を見たことを話した。
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くろーさぎ(プロフ) - 春雨さん» 確認致しました……!! ご報告ありがとうございます、了解しました! (2020年2月5日 9時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
春雨(プロフ) - 夜中にすみません(−−:)柊明のテンプレ、関係の欄書き込むの忘れてまして…急いで編集したので、お手数ですがご確認頂けると幸いです…本当にごめんなさい… (2020年2月5日 1時) (レス) id: 55d503be78 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - 蓮@雫3318さん» あぁなるほど! すみません!!m(_ _)mサンプルボイスを見ると、どちらでも通用しそうだったもので……以降気をつけますね! (2020年2月4日 10時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
蓮@雫3318(プロフ) - その…口煩くて申し訳ありませんが、口調が少しだけ、違ってて…このままでも良いのですが、華は何だい?とか君らはどうしたいんだい?とかの口調です… (2020年2月4日 7時) (レス) id: 57a1a02777 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - 蓮@雫3318さん» 大丈夫ですよー! ありがとうございます! (2020年2月3日 21時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
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