【刀剣乱舞】LOVE/LIKE/アイ？【短編集】 (ページ46)

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最終章・刀剣破壊ページ46

Aの目には「勝利」のビジョンが見えていた。仲間は続々と敵を薙ぎ倒し彼女の元へ駆け付ける。一番最初に到着したのは骨喰だ。見張りを斬り付け、きっとAに呼び掛けるのだ。一言、「遅れた」と。

目を開くと、ビジョン通り骨喰が立っていた。否、立たされている。首元には敵の太刀が充てがわれ体は血塗れである。

骨「主殿、」

彼は最期、虫の息で主を呼んだ。声を発した喉は一太刀に掻き切られ血飛沫が壁に吹きかかった。体が床に崩れ落ちる。紙が千切れてゆく様に人の体が原型を保てなくなっている。最後、刀剣が真っ二つに折れると、骨喰藤四郎の霊力はそこでぷっつりと気配を絶った。

鯰尾は遠くにAの悲鳴を聞いた。Aは大きな声をあまり出さない。そして興奮してもすぐに冷静さを取り戻す。嫌な予感がした。それに骨喰とはぐれてしまっていた。男士はペアで戦闘と捜索を行っていた。鯰尾の相棒は骨喰だった。胸騒ぎがした。廊下で戦っていた巴形と後藤にここは任せ、声の方向に走り出した。

Aは結界を解除し骨喰の刀身を抱き締めた。せめて「体」だけでも持ち帰りたかった。もう勝利のビジョンは見えなかった。敗北と全滅しか考えられなかった。

鯰「主！大丈夫！？」

鯰尾が駆け付けるとAは体を小さく縮こませ頭を垂れた。

　「すまん鯰尾、ごめんなさい…」

彼は全てを察した。折れた刀剣と主の顔が骨喰の最期を物語っている。
しかし感傷に浸っている場合ではなかった。結界の無いAはか弱い人間で、敵には都合が良かった。敵太刀はその胸ぐらを掴んだ。骨喰が床に落ちがしゃんと耳障りな音を立てた。鯰尾が斬り掛かるが、敵打刀によって横から吹き飛ばされる。
敵太刀はもう片方の手をAの顔に押し当て、親指で右の眼球を潰した。悲鳴が響き渡り部屋に反響する。

「我々はお前の絶望を望む」

敵太刀はAを放り投げた。鯰尾が飛び出し、壁への激突は免れる。Aの右目からは絶えず血が流れている。手で抑えながらもう片方の目で敵太刀を見据える。ピントの合わない左目は瞼が切れそうな程見開かれている。

　「どういう意味だ…！」

「言葉そのままの意味だ。お前の絶望が、我々の勝利だ。我々はお前を死なせない。死んだ方がましだと思うまで、身体的に、精神的に、苦痛を味わわせる」

鯰「そんな事、俺がさせません！」

鯰尾が首筋狙って刀を振った。しかし、容易に躱される。
彼は異変に気付いた。傷は軽症。なのに異様に体が重い。霊力の感触が違う。身体に力が入らない。