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八十三訓 ページ35




蔵場さんにミツバさんの容態を伝え

明日入院することを勧める


蔵場さんは二つ返事で了承してくれた



ミツバさんの様子を見て

自分もお風呂やらなにやらを済ませる



今はミツバさんの隣の部屋で布団を引いていた



すると襖をノック音がする



『どうぞー』


「失礼しやす。」



そこには寝巻き姿の沖田くんがいた



『どーした?』


「………。」



沖田くんは突っ立ったまま俯いていて

表情がよく見えない



『沖田くん?』



呼んでも返事をしない彼に近づく



『沖田く』



突然視界が真っ暗になった


体は暖かいぬくもりに包まれている



あれ、うち今……


























抱きしめられてる……?



『えっ、ちょ、沖田くん!?』


「………。」



離れようとするも抱きしめる力は更に強くなるばかり



『お、沖田くん、』

「姉上は」





「姉上は……どれくらいなんですかィ…………?」



肩が濡れる感覚がした



沖田くんも分かっているんだ


ミツバさんがもう長くないことを



『………大丈夫…………とは言えん。


でも、うちもミツバさんには

まだ生きとって欲しい。』



そう言って沖田くんの背中を軽く叩く


まるで小さな子どもをあやすときのように


























翌日



ミツバさんは早速入院となった


まぁ医者と言えど″幕府専属医師″なので

ミツバさんの治療に口を挟むことは出来ない


病院側としても素性の分からない医者の意見は

取り入れたくないだろう


うちがそうやけんね



まぁ言ってしまえばうちの出番はここまでってことだ


その証拠に今は江戸城にて自分の仕事をしている



松平さんの書類と自分の書類が

山のように積み重なっている



『はぁ…続きやるか、』



筆を手にとったときふと思い出す



『組紐……』




やっぱりやめた


気晴らしにあの雑貨屋さん行こっと

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作者名:睡眠足りない布団好き女子 | 作成日時:2021年2月7日 21時

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