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「どうしようかな?二人をどうしようかな?」
ノアの隣にいる絵が上手いともてはやされている「さおりさん」が言った。
あの知ったかぶりの、心の中で罵倒していたさおりさんにも虐められるのか。
屈辱だ。
「あぁ、こういうのはどうかな?」
昨日の放課後、ユイに「さよなら」と言っていた里子さんがノアに耳打ちをする。なんだろう。
すると、ノアがにんまりと笑ってこう言った。
「この時間は何もしないから、安心してね!!ユイちゃん、Aちゃん!!」
うわあ……。
私は気持ち悪くなった。
その笑顔がとても醜かったからだ。
ノアの顔は普通の顔だ。だけど、醜い性格が笑顔からはみ出て醜く見えてしまっている。
性格は顔にでる、ということか。
「はい、解散解散!!」
里子さんはそう言うと、自分の席に戻って次の授業の準備をした。
それを筆頭に、皆は次の授業の準備をし始めた。そして、近くの席の子と喋り始める。
誰も、席を立とうとはしなかった。
私はただ本を取り出して読書をしていた。
皆の視線が痛い。
気配とか、視線とか、よく分からない私でさえ、分かってしまうような視線の多さにちょっとうんざりした。
ユイ、どうしてるんだろ。
大丈夫かな。まさか、支配する側の人間が……。
ちょっと信じられないかな。
でも、ノアを前にしたら、ユイは支配される側の人間なのかも。
ごめん、ごめんねユイ。
私がユイの手を引かなかったら、ユイは___。
一人でやるのが怖かった。
だけど、友達がいれば、出来る気がしたから。
でもそれは、ユイを苦しめることになってしまった。謝っても遅いよね。
自分の勇気が足りないってだけで、自分の為にユイを巻き込んだ。
ユイ、ごめんね。
今読んでいる本の中の主人公が、友達と仲良くしているのがとても羨ましく思えた。
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作者名:ムクロねこ | 作成日時:2015年7月6日 0時