25 ページ25
時計を見る。
ホームルームが始まるまで、まだ20分はある。
今日はいつもよりは早く来たから……確か、雅ちゃんはいつも私と同じくらいだったから……。
雅ちゃんが来るまで、あと十分くらいか。
机の上を片付けてあげたいけど、目立ちたくないし、もしかしたら次は私がいじめられるかもしれないし。
今はあのグループのやつらはいないけど、もしかしたら、片付けている最中に戻ってくるかもしれない。
ああいうやつらは、大人しい子を狙う。
学校での私は、大人しく、根暗だ。
いつも目立たない私が少しでも目立ってみろ。
すぐ標的にされるかもしれない。
それだけは避けたかった。
他の人がいじめられるのは嫌だ。
だけど、自分自信がいじめられるのは一番嫌だ。
だって、他の人がいじめられても、私は痛さや辛さを味あわないから。
でも、自分自信だと＿＿＿＿。
「A、どうしよう？」
「知らないよ、そんなの」
「でも、これ見たら雅ちゃんはきっと……」
きっと？きっと何だって言うの？
いじめを無視すれば、見てないふりをしていれば、私達も加害者側？
それでもいい方だよ。
だって、私達はいじめられてないんだもの。
最低の行為だけど、一人がいじめられることによって、私達は当分いじめられるか心配する必要はないんだから。
(なんてね。最低だよね)
「……きっと、泣いちゃうよ」
「でも、私達がいじめられるかもしれないし」
「そうだけど……」
「ユイ、何もやっちゃだめだよ？」
「けど、けど……だって……その……」
ユイが困っている。
私は、ユイの友達としてどうすればいい？
こんな私と友達でいてくれるユイに、何をしてやれる？
……雅ちゃんを助けるの？
助けてあげればいいの？自分を犠牲にして？
そんな人がいればいいな、なんて思ってたよ。いればいいなって。
でも、それが私なんて望んでない!
いやだ!私はいやだ!たとえ良いことをしても、辛い思いをするなら、そんなのいやだ!!
……でも体は正直で。
ユイの手をひいて、私は雅ちゃんの席に向かっていた。
ユイは微笑んで、「さすがAだよ」と言った。
そして、二人で雅ちゃんの机を片付け始めた。
まずはゴミ。ゴミ箱を持ってきて入れる。
次は花。
花はゴミ箱に捨てたら怪しまれそうだから、どうしよう？
ああ、そうだ。
ベランダに捨てよう。
ベランダならあまり人は出入りしないし、先生も気づかないだろうし。
花はベランダに捨てた。
ずっと皆が私達を見ているのを気付いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ムクロねこ | 作成日時：2015年7月6日 0時
