19 ページ19
「先輩がそういう風に慌てたの初めて見ました」
「…そ、そう？」
「はい。……そこまでそのキャラクターにこだわるんですね。やっぱり先輩は二次元が好＿＿」
「違う!私はオ、オタクじゃないから!」
「でも他の先輩方もA先輩をオタ＿＿」
「ああああああっ!!オタクって言われると傷つくからあああ!!」
私は叫んで未来ちゃんの口を手で塞ぐ。
未来ちゃんはいたずらっ子みたいな目で私を見て笑いを堪えている。
それにカアーっと顔が熱くなる。
後輩には、優しく明るいお調子者の先輩というキャラを見せていたのに……!
「アニメ？そんなことより絵を描きましょう？」的な感じだったのに……!
私は未来ちゃんの口から手をはなす。
「先輩、もう後輩は皆知ってますよ」
「で、でもね…!やっぱり言われたくないんだよ」
「まあ、偏見的な言葉ですしね」
「うん」
私は筆箱を肩に下げているスクバに突っ込んだ。
まさか、いつもいじっている未来ちゃんにいじられるとは…!
しかも、この廊下で!!
この廊下にはトイレに行くために教室から出てくる吹奏楽部の子もいるのだ。そして、吹奏楽部にはうちのクラスの女子も入っている。
こんな私を見られた上に、後輩にいじられているところを見られたら…!
もう私、不登校になる。
「でも、そのゲームが好きなんですよね」
「えぇ、まぁね」
「言葉使い変わりましたね」
「いいの。これで」
私は三階に下りるため、階段に足を向けた。
未来ちゃんが私の隣に来て、一緒に階段を下りる。
「A先輩、そういえば、先輩のクラスで今日何かありました？放送で男子全員呼ばれてましたけど」
これはこれは。
未来ちゃん、触れられたくなことをついてくるね。勇気あるね。ある意味尊敬するよ。
「まぁ、ちょっとやらかしてね。男子が」
男子を強調して言う。
あれは、男子だけが悪いのだ。
女子は悪くない。むしろ良いほうなのだ。
「へぇ〜。そうなんですか」
「そうなんだよ〜」
三階につく。
すると、未来ちゃんが顔をしかめる。
「うるさいですね」
「吹奏楽部の演奏が？」
「いや、あっちから女子の声が……」
「えぇ？」
吹奏楽部の演奏で聞こえないのだろうか？
私は耳をすます。
聞こえてくるのは吹奏楽部の演奏だけだ。………いや、他のも聞こえてくる。人の笑い声？……うん、女子の笑い声だ。
「確かこのフロアは先輩の＿＿」
「この声、うちのクラスの女子だ」
嫌な予感がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ムクロねこ | 作成日時：2015年7月6日 0時
