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「朝っぱらから何で部屋の前にいるんですか。」
「朝一でAの顔が見たいからに決まってるじゃ〜ん!」
部屋のドアを開けた瞬間現れた五条先生に嫌な顔を向ける。
夜蛾学長に相談して対五条先生用に作ってもらった呪骸を少し開けたドアから投げつける。が、攻撃が全く届かないまま呪骸は床に転がった。
さすがに効くわけないか、と諦めて半開きだったドアを全開にした時だった。
「え、」
「え?」
パチリと目が合った。
昨日仙台から戻ってきたのは五条先生と伏黒くん、それと新入生の宿儺の器くん。
彼が宿儺の器くんだとすぐに察知して急いでドアを閉めようとする。が、それは五条先生の無駄に長い脚によって遮られた。
力尽くでドアを閉めようとしても五条先生の方が力が強いからすぐに開けられてしまう。
チラッと宿儺の器くんを見ると完全に顔を赤らめて恋してる顔をしていた。あぁ、絶対にフェロモンの被害を受けてる。
「悠仁、僕のお嫁さん。」
「ただの生徒ですよね、嘘付かないでください。」
「つれないな〜」
こんな状況でも私の肩に手を回してくる五条先生を振り払う。と、悠仁と呼ばれた彼が私の右手を両手で包み込んだ。
じわっとフェロモンが彼の身体に伝わっていくのが分かって「やば……!」と声を漏らす。
「俺、虎杖悠仁!良かったら付き合ってください!」
「ごめんなさい、無理です。」
丁重に断りの言葉を入れる。
そんな捨てられた子犬みたいな目をされても無駄だ。ただフェロモンに充てられてるだけだし効果が切れればすぐに恋心なんて忘れるのに。
生まれてから1回も好きな人ができたことがない私からすれば男子から言い寄られるのは慣れないし普通に照れる。今だって子犬みたいな目から逃げたくて視線を逸らしているくらいだ。
「呪霊を呼び寄せるフェロモンを出せるのがうちの家系の術式なの。今はそれが暴発してて虎杖くんもフェロモンに充てられてるだけ。恋とかじゃないよ。」
「いや、でも俺こんなにドキドキしたの初めてで……。たぶんフェロモンとか関係なしに好きだと思う。」
「ちょっと悠仁〜!僕のお嫁さん口説かないでくれる?」
「ややこしくなるから五条先生黙ってて……」
この状況に頭を抱える。
取り合いなんて憧れてはいたけどフェロモンのせいだし、まず2人とも恋愛対象じゃないし。これに伏黒くんも加わるのかと思うと溜息が零れた。
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年2月2日 19時