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息が荒んだ私を抱きしめて落ち着けてくれた五条先生は「Aのせいじゃない。」と慰める言葉を言ってくれた。
この前と同じで五条先生に対する嫌がらせの類なのかもしれない。
「上層部からの嫌がらせにしては度が過ぎるでしょ……、伏黒くんも野薔薇ちゃんも死ぬ可能性はあったのに……!」
「嫌がらせだけじゃないよ。宿儺の器を怖がってる連中が都合よく現れた特級呪霊を使って悠仁の死を招いた、そう考えた方が辻褄は合う。」
呪術界の上層部って言えば五条先生とバチバチに対立してる集団で、うちの祖父もその一角にいる。
元々五条家に従属するように家系を存続させてきた慶光院家もたぶん関わってる。
五条先生が高専生の時だって私が大人になった時にぜひ嫁にって感じで6歳の私を紹介したくらい五条家に従ってる。五条家が今回の件に関わっているならうちも関わってると考えたほうが良い。
フェロモンが暴発したことよりも宿儺について聞きだしてたのは自分より上の呪術師からの命令だったのかもしれないって思うと自分の祖父なのに情けなく見えた。
「五条家も慶光院家も関わってますよね。」
「だろうね、」
呆れながらそう言った五条先生は私の頭を優しく撫でる。
そして微笑みながら「Aは復讐とか考えちゃ駄目だよ。」と、私の考えを先読みして行動を抑制する言葉を吐き出した。
五条先生が復讐しに行くなら連れて行ってくれ、って頼もうとしてたのに。
今の私なら上層部全員をフェロモンに充てて何でも命令することだってできそうだけど、そんなの悠仁くんも望んでないよね。
「Aはもうちょっと休んでなよ。昼から恵達と合流すればいい。」
「そうさせてもらいます。」
「あ、忘れ物。」
急に腕を引っ張られて体勢を崩した私を五条先生が後ろから優しく抱き締める。
こんな時までフェロモンのせいで制御できなくなってるのか、そう思って顔を顰めた私に五条先生はミルクキャンディーを手渡した。
「甘いもの食べて元気出して。」
「……ありがとうございます。」
「元気になったら一緒に甘いもの食べに行こ、ね?」
五条先生なりに元気づけてくれてるのが分かって目元が熱くなる。
それをグッと堪えて「奢ってくださいね。」と答えた。
泣いちゃ駄目だ。
悠仁くんの分まで強くならないと。
ポロポロと流れる涙が口に入ってミルクキャンディーが少ししょっぱく感じた。
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年2月2日 19時