102話目 ページ42
言ったはいいもののどうしよう。
一週間余りあった合宿なのだ。
そりゃそれ相応の重さがある。
ほとんどの人は私に目もくれずに帰路について、頼みの綱の国見ですら先ほど金田一に引きずられるように帰っていったのを見た。
迎えを呼ぼうにも携帯の充電はとっくに切れていた。
ついてなさすぎる。
例え充電があったとしても親はどちらもこの時間には帰っていないだろう。
まぁどうせ自力で帰らなきゃいけないんだ。
のんびり歩いて帰ろう。
そう思ってボストンバックを抱えるように持ち上げようとすると
「なにしてんの」
と、背後から声をかけられた。
全く予想外の出来事だったので「ぅえ？！」と女子高生とは思えない悲鳴が出てしまったがこの際全く問題ではない。
一番の問題は私の耳が確かであれば今聞こえた声は松川さんのものなのだ。
「何してんのって聞いてんだけど」
普段彼が及川さんたちと話しているときからは想像もつかないような、明らかに敵意のこもった声。
「あ、え、っと、今帰るところです」
「早く帰れよ、もうみんないねぇけど」
「すみません、」
「なんか言われてんの？監督に」
「え、？あ、全然何も、ただ荷物が重いなぁと思って」
「あぁそう」
彼はそういうと黙ってしまった。
しかしその場からは動こうとしない。
「あ、松川さん、もしかして監督からなにか頼まれてますか、？
荷物の片づけとかでしたら、私やっとくので、その、」
「いや別に」
「えっ、」
「なんも頼まれてねぇし」
「そ、ですか、すみません」
「おぉ」
しかし彼はそこを動こうとしなかった
「なぁ、それ、紐」
「あ、これ、たぶん重さで切れちゃって」
「いやなんかハサミとかで切られてるだろ、それ」
知ってますよそんなの！！そう思いながら初めて知った！みたいな顔をして返答する
「そ、ですね、言われてみたら…」
「国見から」
「え？」
「頼まれてんだわ、お前のこと」
「何がですか怖いです」
「なんで？？？？
いや別になんもねぇならいいけど、それ、運ぶの重いだろ」
「そうですね…？」
「お前家どっち」
あっちです、そういって家の方向を指さす。
「一緒
こっちもてよ、それは俺が運ぶ」
そういって松川さんは紐の切れた私のボストンバックを軽々と持ち上げる。
行くぞ、そういって彼は歩き出した。
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いちか(プロフ) - 及川さんとの絡みが好きすぎます！ (2021年8月24日 2時) (
レス) id: 04ec5ad602 (このIDを非表示/違反報告)
白夜のダンテ(プロフ) - 割と素直なぬこさん» ありがとうございます。新作の件、参考にさせていただきます。木兎さんとの絡み…できる範囲でやりたいと思います。コメントありがとうございました。 (2021年6月24日 20時) (レス) id: 78c0d6e1f2 (このIDを非表示/違反報告)
割と素直なぬこ - 連続でコメント失礼します。新作どれも面白そうなのですが、せんぱい！をけんまで見たい！私の推しが木兎サンなので本編で絡みもっと欲しい！図々しくすみません…… (2021年6月23日 22時) (レス) id: 146f38e7d4 (このIDを非表示/違反報告)
白夜のダンテ(プロフ) - 割と素直なぬこさん» ありがとうございます！ (2021年5月18日 20時) (レス) id: 78c0d6e1f2 (このIDを非表示/違反報告)
割と素直なぬこ - 続編おめでとう！！頑張ってください！ (2021年5月18日 6時) (レス) id: 348a770f9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑 | 作成日時：2021年5月16日 21時
