なんででしょう？【青葉城西】3巻

95話目 ページ35

お昼の時間が過ぎ、午後練。
私は傘村と交代して音駒のマネになっている。

最終日の午後だし、と監督たちが考えてくれたのは練習試合。

私は選手ではないのでわからないが、選手たちにとってはありがたいことなのだろうな、と思う。

普段マネがいないからなのか、自分たちでテキパキと働いてくれている姿に感動しながらも、「私がやるので大丈夫ですよ」、と黒尾さんの手から荷物をもらう。

「次の場所どこでしたっけ？」

想像以上に重かったそれによろけながらも急ぎ足で前に進む。

「次は第三体育館だな。」

重いだろそれ、さりげなく質問に答えたあとにしっかり気遣ってくる。

顔だけはそこそこいいから余計にこういう気遣いが映えるんだろう。

「いいですよ別に、これから試合の人は体力でも温存しといてください」

「意地張んなって」

そういって折角黒尾さんからもらった荷物をまた奪われる。

「夜久さんに言いつけますよ」

「そんなことして重いもん一人で持とうとすんなって怒られても知らねぇぞ？」

「だってそれがマネの仕事ですもん」

「マネである前に女の子なんだからな？お前」

「きっしょ」

口から反射で出てしまったそれに後悔しながら「すみません」と謝る。

「最近Aちゃんが反抗期でお母さん悲しい」とふざけてくれている様子を見るとそこまで気にしていないようで安心した。

「産んでもらった覚えありません」

「育てた覚えもねぇわ！」

と笑いながら答えてくれて心が広い、というステータスが黒尾さんに追加された。

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