なんででしょう？【青葉城西】3巻

91話目 ページ29

「そろそろ休憩いれよっか。
スイカとアイスどっちがいい？」

その辺はもうとっくに休憩入ってたみたいだけど。

そういってこちらを見てくる及川さんに背筋が凍った。

すみません。という意味を込めて軽く会釈してみるとびっくりした様子で会釈を返してくれた。訳が分からなかった。

「多数決でいいんじゃね？」

黒尾さんが声を上げる。
そうしよっかー、と及川さんも納得したようでスイカがいい人ー、と多数決を取り始める。

結果はスイカになったのだが及川さん、私、仁花ちゃんで冷蔵庫を開けに行くとスイカがまるごと入っていた。

「切ってないのかよ？！」

三人の気持ちが一致した唯一の瞬間だった。

「スイカ、切れる？」

その言葉に仁花ちゃんは高速で首を横に振った。

「スイカきれないなんてことある？！」
と思ったが口には出さずに心の中だけでとどめておいた。

「お前は？」

「深森です。切ろうと思えば切れますけど。」

自己紹介を軽く済ませて返答をする。

「じゃあ谷地さんは運ぶの手伝ってくれるかな？
俺らで切っちゃうからさ。」

神様。あなたはどうしてこうも私に試練をよこすのですか。

大変都合がいいですありがとうございます。

「これ、半分切って」

そういわれてスイカの半分を渡される。

「小人さんにしていいんですか？」

そう聞くと笑われた。

何故？？？？

「なに、小人さんって」

と大爆笑してくる及川さん。
地域差があるのかな、と思ったが同じ県の同じ高校に通っていた。

「なんかこうちっちゃい三角にする切り方ですけど。
言いません？」

「言わねぇよ」
と大爆笑からまだ帰ってこないので少し心配になってくる。

「それでいいよ」

笑いながら返事をしてくる及川さんを微塵もかっこいいとは思わなかった。

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