なんででしょう？【青葉城西】3巻

78話目 ページ15

「もう一回寝てきます」

俗にいうふて寝なのだろうか。

しかし合宿だからと言ってしっかり睡眠をとらなくていいというわけでは全くないのだ。
少しくらいの二度寝なら怒られるわけがない。何なら褒められるかもしれない。

「えーいいじゃんせっかく来たんだし！！」

寝起きの頭では理解に苦しむような木兎さんの大声に顔をしかめる。

「ほら、嫌そうですよ」

赤葦さんはそんな私の顔を見て勘違いしたようで木兎さんをいつもの調子(黒尾さん曰く)で咎めた。

「いや眠いのにうるせぇよみみずくハットがって顔だな、これは」

ぶひゃひゃひゃひゃと独特な笑い声で笑いながら黒尾さんが発言した言葉は私の心情を少し過激にしたような感じで、思わず首を縦に振ってしまった。

「大当たりですってよ」

今まで黙っていた月島君も木兎さんをからかうノリになってきたその場の空気に流されて加わってくる。

全面的に私のせいで怒ったそれにごめんなさいとは言わなかった。

「あ、探したんですよ、先輩」

その時、昨日の夜ぶりに聞いた国見の声がしてそちらに勢いよく顔を向けた。

「マネさんたちに聞いたらまだ部屋で寝てるっていうから迎えに行ったのにいないんですもん。
それでこっち探しに来たら黒尾さんたちと朝練してるし」

少し不機嫌そうな国見の声に「ふふっ」と笑いが漏れる。

「何笑ってんですか」とさらに不機嫌そうになる国見の声にまた笑いがこぼれそうになるのを何とか耐えて用件を聞く。

「え、嫌、別にないですけど。」

「強いて言うならそうですね、昨日の不機嫌なおったかなぁって」そう続けた国見に珍しいこともあるもんだな。と思った。

国見は研磨と一緒で人に幼児のないときは基本一人でいるタイプだと勝手に思っていたので少し驚いたが「もうなおったよ、うっさいな」と照れ隠しも含めて少し強めの口調で返した。

国見はそれを察したのか笑いながら「よかったです」と返してきた。

やけに余裕なのがムカつくな。昨日の夜は弁明でいっぱいいっぱいって感じだったのに、と国見に心の中で悪態をついてしまったのはさすがの国見でも読めなかったようだった。

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