９【消えた】 ページ42
俺がじっとタンポポを見つめていると、おばさんは口を開いた。
「ああ、あの子とお父さんが好きだったのよ、タンポポ。もう暖かくなっちゃったから、萎れちゃったのね」
穏やかな笑みを浮かべ、愛おしそうに優しく撫でるその姿に、既視感を覚える。
それはきっと、前に見た Aがタンポポを見つめたときの表情。
俺はタンポポから視線を外し、壁を見る。
壁に掛けてある数々の写真には、幼いAと、そのお父さんが写っていた。
あどけない笑顔をこちらに向けたツーショット。
−−Aは、父母どちらにも似ているんだ。
「多分Aは、お父さんの後を追ったのね。死に方もそっくりだもん」
おばさんは淡々と告げる。
別段哀しさを思わせないような口ぶりで、けど伏し目がちに言った。
「もしよかったら、Aの部屋に行ってみて。私はまだ入れてないから分からないけど、国見くんしか分からないこともあると思うの」
玄関に一番近い部屋だと言われ、俺は遠慮なく足を踏み入れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢花 (仮垢) - なんか…不思議な終わり方だったなぁ…(これ今全力で褒めてます)。何ていうか…国見ちゃんが落ち着いた考え方をしてるからなのか、焦らず読める感じ。違う世界(パラレルワールド的な)では、同じ夢主ちゃんが幸せに成っていますように。 (2019年2月18日 15時) (
レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
蒼羅(プロフ) - ツキクラLOVEさん» 多分出来ると思いますよ！ (2017年2月17日 18時) (レス) id: 619b7b73af (このIDを非表示/違反報告)
ツキクラLOVE(プロフ) - ありがとうございます｡私が使っているのはAndroidなんですけど出来ます？ (2017年2月16日 18時) (レス) id: 983ef458ef (このIDを非表示/違反報告)
蒼羅(プロフ) - ツキクラLOVEさん» 私はフォントをダウンロードして、CSSに貼り付けました。webフォントですと、leafscapeというサイトが一番利用しやすいかと思います (2017年2月16日 18時) (レス) id: 619b7b73af (このIDを非表示/違反報告)
ツキクラLOVE(プロフ) - ありがとうございます｡その文字フォントってどうやって出ますか？ (2017年2月16日 17時) (レス) id: 983ef458ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼羅 | 作成日時：2016年7月30日 20時
